第八十五話
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「俺か? 俺の名は華佗だ。五斗米道で病人を治療するために町から町へと歩いているッ!!」
……華佗やと? なら……。
「あんたならこの二人の病は治せるか?」
「あぁ、俺は鍼を使って病魔と闘う事が出来る」
「ならば二人の身体を治してやってほしい。二人はまだ生きるべき人間であり家族や仲間がいるんだ」
「分かった、協力しよう。そのためには貴方の力がいる」
「俺の力?」
「俺の氣だけでは二人を治しきれないが、貴方の氣を使えば治せる事が出来る」
「分かった。俺もやろう」
「なら俺の肩に手をそえてほしい。そしたら後は俺に任せろ」
「よしきた」
俺は左手を華佗の右肩にそえる。
「行くぞッ!! ハアアァァァァァァァッ!!」
華佗は鍼に氣を送る。お、何か俺の氣も吸われていく感覚があるな。
「今だッ!! 元気になれえぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」
そして華佗の鍼が翡翠の胸に突き刺さって翡翠は光りに包まれた。
光りが無くなるとそこにはいつもの翡翠がいた。
「どうだ翡翠?」
「……身体の痛さが無い……」
翡翠は驚きながらも自分の身体を触る。
「成功……のようだな」
華佗がニヤリと笑う。
「よし、なら次は冥琳や」
「分かった。そこだッ!! 元気になれえぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」
今度は冥琳が光りに包まれた。
そして光りが無くなるといつもの冥琳がいるわけで……。
「どうだ冥琳?」
「……うむ。身体がスッキリしたような感覚かある」
冥琳はそう言うけど、顔は嬉しそうやった。
「念のために医師にも診てもらう」
そして医師にも後に二人を診てもらったけど異常は無かった。
――翌日――
「ありがとう華佗。俺は貴方に御礼がしたいけど何かないか?」
「いや、俺はそんな物は求めない。病人のために俺はそんなひたすらさすらうだけだ」
意外にも頑固だけど……ならば。
「ならさすらうとしても路銀は必要だろ? これは俺からの餞別だ」
俺は小袋に入った路銀を華佗に渡す。
「……分かった。有り難く受けとる。それと俺の真名は炎華だ」
「いいのか?」
「あぁ、俺が認めたんだ」
「そうか、なら俺の真名は長門だ」
「おぅ、また会おう長門」
「またな炎華」
華佗――炎華はそう言って城を後にした。
「……いるんやろ貂蝉に卑弥呼?」
「むぅ、バレたか」
「久しぶりねぇん」
「あぁ、華佗を呼ばしたのはお前らやろ?」
「そうよぉん。ロッタちゃんが上級魔法を使えないからねぇん。別に問題ないわぁ」
貂蝉と卑弥呼はそう言う。
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