暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第三十七話 光明その七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「いるでしょ、一杯ね」
「そうだな。確かにな」
「平気で嘘を吐く人もいるし」
 若奈の顔が曇っていた。
「それこそ息をするようにね」
「いるな、確かに」
「それも一種の精神病みたいだけれど」
「精神病か」
「人格障害っていうのかしら」
 そうした類であるというのである。人格障害だとだ。
「そういう人っているらしいから」
「異常犯罪を犯す人間か」
「そういう人間もいるから」
「そうした奴にも会ってきた」
「いたの」
「知り合いでいた。どんな嘘をつこうがどんな悪事を働こうが全く平気だった」
 牧村は語っていく。運転しながらだ。
「そして人を騙しても利用してもな。全く平気だった」
「そういう人っているのね」
「今は刑務所にいる」
 牧村は一言付け加えた。
「詐欺で逮捕された」
「人を騙したことがばれたのね」
「それで捕まってだ。今は刑務所にいる」
「刑務所でも更正しそうにないわね」
「更正しない奴は更正しない」
 牧村は言葉に感情を込めずにそれで言い捨てた。
「何があってもだ」
「死んでもなのね」
「そうだ。死んでも直らない」
 まさにそれだというのだ。
「世の中にはそうした人間もいる」
「残念な話ね」
「どんな嘘を吐こうがな。盗みをしようがだ」
「そういうのって確か」
 若奈は牧村のその話を聞いているうちにある言葉を思い出した。その言葉は。
「サイコパスっていうのね」
「確かな」
「そうだったわね。サイコって何か禍々しい響きがあるけれど」
「そこから来る」
 そうした良心が異常に欠如した人格のことを言う。あのオウム真理教の麻原がそうだったと言われている。俗に百人、若しくは千人に一人いるとも言われている。
「ごく稀にだがそうした人間もいる」
「何処までも卑怯でも平気なのね」
「どれだけ卑劣でも醜悪でも信用をなくしても平気だ」
 牧村はまた言い捨てた。あえて感情は消しているようである。
「恥も知らない」
「ある意味幸せな人間ね」
「だからこそ重度の人格障害者だ」
「重度のね」
「こうした人間はまず自分しか考えない」
 牧村の言葉は続く。
「そうした知り合いがいた」
「そういう人間って自分が報い受けても逆恨みしかしないのよね」
 若奈の顔は困ったものになっていた。
「絶対にね」
「そうだな。そして果てはだ」
「果ては?」
「破滅しかない」
 またしても言い捨てたのだった。
「それしかない。わかっていないのは自分だけだ」
「自分だけなのね」
「自分だけしかないからわからない」
「エゴイストってことよね」
「簡単に言えばそうだ」
 まさにそうだというのだ。
「そういう人間はだ」
「人間ってそういう人もいるのね」
「人は色々だ」
 牧村
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ