第三十七話 光明その六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「私はそんな。アイドルなんか」
「けれど本当だよ」
冗談とは言わないのだった。
「あんただったらなれるよ」
「それもトップアイドルな」
「山口百恵超えるよな」
「ああ、超える超える」
「間違いなくな」
今度は伝説的アイドルであった。アイドルといえば何といってもまずは山口百恵である。彼女からはじまったと言っても過言ではない。
「北乃きいもいいけれどな」
「あの娘も平均点高いけれどな」
「演技も上手だしな」
「あんた達よく知ってるね」
叔母は彼等の話に思わず突っ込みを入れた。
「本当に」
「アイドルに興味がなくて何が男なんだよ」
「アイドルとバイクはやっぱりな」
「男のロマンだよ」
三人共どう見ても三十を超えている。しかしそれでも言うのだった。
「例えかみさんがいてもアイドルは見るんだよ」
「だからこその男のロマンだよ」
「絶対にな」
「何か男ってややこしいね」
しかしこう言う叔母もだった。
「まあタッキーにはうちの旦那も適わないでしょうけれどね」
「そういうあんただってそうじゃないか」
「タッキーってきたか」
「前はキンキキッズって言ってたのにな」
「キンキも今も好きよ」
叔母は悪びれずに言ったのだった。
「マッチもニッキもね。サワ君も慎吾ちゃんも皆ね」
それぞれ近藤真彦、錦織一清、大沢樹生、香取慎吾である。誰も歴代ジャニーズのトップアイドル達である。どうやら相当な年季があるらしい。
「今でも大好きだよ」
「おかみはマッチ派だったのか」
「成程な」
「マッチはいいよ」
それを自分でも言うのだった。にこやかな顔でだ。
「DA PAMPも好きだけれどね」
「アイドル好きだよな」
「そうだな」
「ええ、好きよ」
完全に居直りの言葉だった。
「女はずっと少女なのよ」
「だからアイドルは好き」
「そういうことか」
「まああんた達と同じね」
笑っての言葉だった。
「そういうところはね」
「成程、そうなるのか」
「そういうことか」
「男も女も同じか」
男達はここで納得して頷くのだった。
そしてだ。そんな話をしながら喫茶店での時間を過ごすのだった。そしてその後でだ。
サイドカーで屋敷に戻る。その時だ。
若奈は一緒だった。その横の座席にいる。そこに座って話をしている。
「ねえ」
「何だ?」
「叔母さんのお店気に入ってくれたかしら」
こう彼に問うのである。
「どうなの?それは」
「いい感じだ」
これが牧村の返答だった。
「明るくてな」
「そうでしょ。叔母さん明るいしね。気さくだし」
「気さくだな」
「あの人柄もお店にお客さんを引き寄せてるのよ」
「人柄か」
「まあ牧村君は」
彼に顔を向けての言葉だった。
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ