第三十七話 光明その二
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「それでチーム名も変えてな」
「そうだよな。何がいいかな」
「それでどんな名前がな」
「ああ、だったらな」
それで言われた名前は。こうしたものだった。
「名付けて平壌読売イルソンズ」
「おお、それいいな」
「センスあるよな」
皆笑顔で言う。
「あと対抗馬がだよ」
「ああ、何だ?」
「どのチームだ?」
「ジョンイルズだ」
言うまでもなくあの国の親子の独裁者だ。尚世襲制の共産主義国家なぞはこれまで存在したことがない。共産主義なら本来有り得ないことである。
「この名前でどうだ?」
「いいよな、それであのアナウンサーのおばさんが実況してな」
「ああ、あの人だよな」
「いつも絶叫しているチマチョゴリの」
北朝鮮のアナウンサーは非常に独特である。常に絶叫して汚い文章の言葉を喚く。名前よりもその顔と喋り方でインパクトがあるのだ。しかももう一人いる。
「あとあの痩せたおっさんな」
「ああ、あの人もいいよな」
「もう実況解説最高に面白いだろうな」
無論善意の言葉ではない。
「そしてリーグの名前は将軍リーグとかか?」
「それだとセンスないだろ」
「じゃあ何だ?」
「白頭リーグなんてどうだ?」
こう言われるのだった。北朝鮮の聖地とされている山の名前だ。尚金日成、本名金聖柱は実はこの山にはあまりいなかった。実際はソ連にいた。金正日もソ連生まれだ。この山で生まれてはいないのだ。
「それでな」
「ああ、それ格好がつくな」
「いい感じじゃね?」
「だよな」
そしてこうも言われるのだった。
「とにかくあいつ等は北朝鮮だよな」
「ああ、そっちで野球やれよ」
「日本から出てな」
関西だけあって巨人の評判は悪い。叔母もそんな客達の言葉を笑顔で聞いてだ。そのうえで牧村に対して言ってきたのである。
「それでだけれどね」
「何だ」
「今日はどうするの?」
「今日か」
「今からそっちに若奈行かせるけれど」
にこりと笑っての言葉である。
「それでどうかしら」
「そうだな。今から戻るか」
「それなら若奈送ってくれる?」
「わかった」
それでいいというのである。
「それならだ」
「御願いするわね。あのサイドカーで来たのよね」
「移動する時はいつもあれだ」
実際にこう答えるのだった。
「送るのも楽だ」
「そうなのよね。サイドカーって滅多に見ないけれど」
「ああ、あのサイドカーあんたのだったのか」
「前のあれは」
男達が今の二人の話に入って来た。
「そうだったのか」
「あれかなり渋いよな」
「そうか、あれ持ってたのか」
「それで乗ってるんだな」
「サイドカーは人気があるか」
牧村は彼等のその言葉を聞いて述べた。
「そんなにか」
「ああ、そうだよ」
「あれ
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