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髑髏天使
第三十七話 光明その一
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                   髑髏天使
                 第三十七話  光明
 牧村は喫茶店の中にいた。あの若奈の叔母の店だった。そこに入ってだ。そのうえで話を聞いていた。
 話しているのは横にいる客達だ。彼等があれこれと話していたのだ。
「いや、本当にこの時期はな」
「困るんだよな」
「そうだよ、甲子園がなあ」
 見ればカーキ色の作業服の中年の男達だ。彼等はカウンターに座ってだ。そのうえで話をしているのだ。
「高校野球で貸切になるからな」
「それで阪神は遠征だよ」
「地獄のロードな」
「毎年ここで落ちるんだよな」
「いつもな」
「阪神だけなんだよな」
「まあ今はな」
 さらに話していく。彼等のその忌まわしいハンデをだ。
「大阪ドーム。ああ、京セラドームか」
「そうそう、今の名前はそれだったな」
「まあどっちにも名前はそれだよな」
「オリックスの球場なんか使い切ればいいんだよ」
 かなりエゴイズムな言葉ではある。
「そうだよな。阪神様にその球場差し出せ」
「それでオリックスは北朝鮮行きだよ」
「巨人と一緒にな」
 やはりエゴイズムを出している。しかし巨人についてはまさに正論であった。巨人というチームこそはまさに我が国の北朝鮮そのものだからだ。
「巨人があるから日本はよくならないしな」
「今年はあのまま崩れたらいいけれどな」
「ヨネスケもテレビに出るな」
 まさに巨人ファンの悪い意味でのサンプルとも言うべき存在である。
「今年の阪神どうかな」
「ああ、それでヨネスケまた叩かれてたよな」
「自業自得だよ、あいつは」
 ヨネスケの話は皆口を歪ませていた。コーヒーの苦さによるものではないのは一目瞭然である。間違ってもそんな味のコーヒーではないからだ。
「巨人の犬だからな、完全に」
「というか男従軍慰安婦だろ、あいつは」
「一リーグ制も賛成していたしな」
 要するに巨人の言うことは何でも尻尾を振る輩である。尚同じ事務所にはとある捏造番組のコメンテーターも存在している。
「あいつも北朝鮮に行ってしまえ」
「全くだ」
 こう言いながらコーヒーを飲んでいるのだった。
「巨人なんかこの世からなくなってしまえ」
「悪は滅べ」
「悪か」
 牧村もその言葉に反応した。
「巨人は悪なのだな」
「それ以外の何でもないじゃない」
 若奈の叔母もその通りだというのだった。
「あんなやりたい放題の連中はね」
「あの能無し落語家はただの愚か者か」
「まあ普通では考えられないレベルのアホだな」
「そうだよな」
 男達もそれは言う。話が戻っていた。
「朝まで生テレビでも古田を馬鹿にしてな」
「後は総攻撃受けたしな」
 義憤を感じた視聴者や野球を本当の意味で愛する者
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