第三十五話 瞑想その十五
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「それも鍛えるのだ。いいな」
「座禅によってか」
「座禅はただ座るだけではない」
言葉にある意味が深いものになった。
「全ての中にある深いものを感じ取りその中に入るのだ」
「宇宙か」
「そして人だ」
「人もか」
「人は宇宙でもある」
祖父は孫に話を続ける。
「ありとあらゆるものは同じだ。わかったな」
「わかった。では宇宙の中に入ろう」
彼は祖父の言葉に静かに頷いた。
「俺が俺である為に」
「そして人である為にだ」
「そうだな。人である為にも」
牧村は祖父の言葉に応えた。そしてまた座禅に入った。
祖父は彼の前から去る。彼が再び目を開けた時いるのは。
彼がいた。彼は牧村の前に立っていた。そして彼だけではなかった。
「禅か」
「それだよね」
死神と目玉だ。死神は黒いジーンズと上着だ。その服で彼の前にいたのである。二人は今道場で牧村の前に立っていた。
白い床にその黒い服が絶妙のコントラストを為している。死神はそのコントラストの中で彼に応えてだ。言葉を再び出してきた。
「いいことだな」
「禅を知っているのか」
「知っている。東洋の精神修養の一つだな」
「そうだ」
その通りだと返す。立ち上がりながら。
対峙する形になった。しかし闘うことはない。見合った形になりそのうえで再び話をするのだった。そのうえでのやり取りであった。
「その通りだ」
「そうだな。だが」
「だが?」
「貴様にとってそれはいいことだ」
こう彼に言うのだった。
「髑髏天使である為にはな」
「いいか」
「目が黒くなってきている」
「目がか」
「そうだ、目が黒くなってきている」
また言ってきた。
「実際にだ」
「赤ではなくか」
「目が黒い。そしてだ」
「そしてか」
「人であり続けるならば私も貴様と闘わなくて済む」
こうも言うのであった。
「やはりいいことだ」
「俺は魔物と闘う」
牧村も彼と同じ言葉で返す。
「だが」
「わかるな」
「貴様と闘う必要はない」
「その通りだ。私は死神だ」
また言う彼だった。
「死すべき者の命を刈るだけだ」
「それが死神か」
「そうだ、今は魔物がそれだ」
こう話した。
「貴様が魔神となればわからないがな」
「それか魔物か、か」
「智天使の力は絶大だ」
天使の力の話もしてきた。
「操れなければその時はだ」
「力に飲み込まれそうしてか」
「魔物になる」
また言った。
「そういうことだ」
「わかった。俺は人だ」
「そして髑髏天使だな」
「このままでいる」
それをまた話した。
「何があってもだ」
「その通りだ。それではだ」
「去るのか」
「今は魔神達も仕掛けては来ない。だからだ」
「去るのか」
「大
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