SAO編
三十六話 “切り開く運命”と“絶望と言う幕切れ”
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した俺はそのHPが通常よりも明らかに早い、黒猫団の活動範囲でキリトが受けるには多すぎる量のダメージを受けているのを見て、すぐに嫌な予感を感じ取り、キリト達の所へと一気に向かった訳である。
ちなみに、その時使ったのも義兄弟設定に関係のある物だ。
《兄弟結晶》
同じ色だが、微妙に輝きの違う複数の結晶で、義兄弟設定をプレイヤー間で結んだ時、そのプレイヤーたちのレストレージに自動的に出現すると言う物だ。
売却及び譲渡する事は出来ないアイテムで、片方のクリスタルの持ち主が《転移》(複数人の義兄弟の場合はそれに+対象の名前)とボイスコマンド起動をさせると、そのもう一方(もしくはその対象)の「目の前」に一発で転移出来ると言う優れものである。
しかも、効果を発動させるのはあくまでもコマンド起動をする本人の側のクリスタルであるため、仮に転移対象の人物が《結晶無効化空間》の中にいたとしても問題無く転移する事が出来る。
何時でも援軍として駆け付ける事が出来ると言う、非常に便利なクリスタルなのだ。
ただ、今回の場合、転移すべき場所であるキリトの目の前にモンスターが居て、転移すべき座標が塞がっていたため、結果としてキリトよりもサチの近くに転移してしまったわけだ。
そして転移した直後。大量のモンスターとHPを死亡寸前まで減らしたサチの姿を見た瞬間に、無我夢中で俺は走り出していた。
その後はまぁ、知っての通りだ。
結果的には、ギリギリでサチの命を護りきる事が出来た訳である。
俺がそんなふうに物思いにふけっていると……
バンッ!と言う破裂する様な音と共に、サチ達が入って行った宿の扉が開き、中から人影が飛び出して来た。
俺など眼にも入らないと言った様子で転移門の方へと走り去っていくその人物の顔は、俺も良く知る人物。黒猫団のリーダーである、ケイタだった。
「待って!ケイタッ!」
続けて開いた扉から、サチが泣きそうな声を上げて飛び出してくる。続けてキリト。
ただ、俺は瞬間的に二人の顔を確認したが、サチの眼は相変わらず読みとることが出来ず、キリトの眼には……後悔と、強い自責の念が宿っているように見えた。
『なにが……』
答えを出すより早く、サチとキリトがケイタを追って走り出したため、俺も続く。
って……あ、やべ、俺敏捷……。
────
結局、俺達三人が追いついた時にはケイタは転移門から別の階層へと跳ぶ直前だった。
喧噪のなかで何処行くのかを聴き取る事等出来るはずもなく、転移してからサチがフレンドリストで行き先を確認しようとしたが……
「無い……」
「あぁ?」
「ケイタの名前が、リストから消えてる!」
半分泣き声の様に裏返った声でそう言ったサチにキリトから答えが返される。
「多
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