SAO編
三十六話 “切り開く運命”と“絶望と言う幕切れ”
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」
自分が最後の瞬間にもう一度会いたいと願った青年……リョウの姿が、確かにそこにはあった。
「何で……」
居るのか。
当然の疑問だ。さっきまでリョウは此処には居なかったはずだし、偶然にしては出来過ぎている。
何よりも何故突然部屋の“中”に現れたのかが疑問だ。モンスターのポップによって三つの入り口は全てふさがれていたはずなのに……
「言ったろうが!危なくなったら……」
そこまで言ったところで、再び切りかかって来たモンスターに仁王立ちになったままリョウは応戦する。
薙ぎ払いで吹き飛ばし、言葉を続ける。
「何時でも助けてやるってなぁ!!」
……そう言えば、ずっと昔にもにもこんなことが有った気がする。
あの時は、同級生の男の子達に絡まれて、学校の廊下で泣いてた時だった。
周りには六人くらいの男の子が自分を囲っていて……臆病な自分は何もされていないのに直ぐに泣きだして、気が付いたら大泣きした六人といつの間にかぼこぼこになったりょうが同じ様に目の前に立って居て……
結局先に手を出したのはりょうだったから先生にはりょうが怒られてたけど……あの後お婆ちゃんの家でも叱られた時、りょうが不貞腐れたみたいに言った言葉ははっきりと覚えてる。
『だってみっちゃん泣いてたから、助けなきゃって思ったんだもん』
ああ言った時の彼と、今目の前にいる彼の後ろ姿が、今サチの瞳の中では確かに重なって見えた。
「約、束……」
高レベルの剣士と槍使いによる猛然とした反撃を受けたモンスター達は、あっという間にその数を減らし、ついに、その部屋には一匹のモンスターも居なくなった。
────
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
「はっ、はっ、はっ……」
「ふ、二人とも、大丈夫?」
サチの心配そうな声が、リョウとキリトの耳に響く。
二人は肩で息をし、リョウは槍を杖にして何とか立っているものの疲労困憊。キリトに至っては床に座り込んでいるため、どちらもサチの問いに答える事すらできない。
しかし、やがて息を整えた二人は、何とか立ち上がる。
一瞬向かい合い、見つめ合ったまま黙りこむキリトと二人だったが、やがてゆっくりとリョウが口を開いた。
「お前等……無事だよな?」
「え?」
「あ、……あぁ」
キリトとサチの眼を交互に見据えながらリョウが問うたその言葉にキリト達は一瞬何を聞かれたのか分からず答えを濁す。
だが、小さく漏れたその言葉を聞いた瞬間、リョウは大きくため息をつき……
「無事なんだな……死んでねえんだな……」
そう一人呟く。
その顔は安堵に満たされており、只々義弟と友人の生存を喜んでいた。
「皆……」
次に口を開いたのはサチだ。
思い出した瞬間哀しみがあふれて来た
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