SAO編
三十五話 それはいつも唐突に
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たたましい音が大音響で鳴り響き、東西と南に有った部屋の入り口から、一斉にモンスターがなだれ込んで来た。
「うわっ!」
「な、なんだこれ!?」
「うわああああああ!!」
「な、何!?」
「っ!」
一瞬パニックに陥りかけるメンバーの中で、最も復活が早かったのはキリトだ。反射的にこれを切り抜けるのは無理であると判断し、即座に叫ぶ。
「全員!クリスタルで脱出だ!!」
まだモンスター達の射程に入るには少しだけ距離が有る。直ぐに転移結晶を使い、街に跳べばギリギリだが間違いなく逃げ切れる……はずだった。
「転移!な、何でだ!?転移!転移!」
「き、キリト!クリスタルが使えないよ!」
「なっ!?」
「う、嘘だろ!?こんな……!」
「うわ、く、来るなぁぁぁっ!!!」
罠は二重だった。
部屋全体が、結晶系アイテムを無効化する《結晶無効化空間》に設定されていたのである。
当然転移結晶がその効力を発する事は無く、脱出はモンスターをアラームの元凶である宝箱を壊し全て倒す事でしか不可能となった。
しかし突然の事にメンバー全員が(程度に差はあったが)大混乱に陥った上に、部屋を埋め尽くすほどのモンスターが押し寄せて来るのだ。
宝箱に気を払う余裕など無く、キリト達五人は絶望的な戦闘を強いられる事となった。
そして、戦闘開始から五分程が過ぎたころ……
バシャン!という、プレイヤーが死亡した事を知らせる時特有の無情な効果音が、キリトとサチの耳に、三度目の不快な刺激をもたらした。
────
「嫌ああああぁぁぁぁぁぁ!!」
「くっそぉおおおぉぉおおぉぉ!!」
サチの悲鳴が響き、キリトの絶叫が轟く。そこらじゅうを埋め尽くすモンスターに対し、キリトとサチは必死の抵抗を続けていた。
既に仲間達三人は絶望の表情と共にその魂を砕け散らせ、その状況にキリトは恐慌し、今までは隠していたため出さなかった上位のソードスキルの乱発する事で周りのモンスター達を次々にポリゴン片に変えていた。
せめて、せめてこの少女だけはと。それだけを一心に思いながら少年は必死に剣を振り続ける。
しかし、なまじ数が多すぎた。
何しろ、前後左右有りとあらゆる方向から、無数のモンスター達が迫って来るのである。対応などしきれる訳も無く、次第にサチの周りにモンスターが群がり、彼女を、サチのHPを飲み込み始める。
長槍使いであるサチは、本来剣士であるキリトやテツオの陰に隠れ後ろから射程の長い突き攻撃によって攻撃を行う役目であるため、懐に入られれば殆ど抵抗する術が無い。
そして周りの埋め尽くすモンスターを相手に接近されずに戦う力など、サチに有るはずも無かった。
必死に槍を振り回しても、焼け石に水。徐々にキリトのカバーが間に合わな
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