第三十五話 瞑想その三
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未久はそれを見てだ。まず兄に対して言ってきた。
「ねえ」
「何だ?」
「お兄ちゃんビール飲まないわよね」
「そうだが」
「じゃあビールはなしね」
それを聞いて納得した顔で頷くのだった。
「やっぱりね」
「言うまでもないことだと思うが」
「それでもよ。じゃあ串カツだけね」
「御前も飲まないな」
「まさかここで飲む筈ないでしょ」
それはすぐに否定した。
「っていうか私まだ中学生よ」
「だからだな」
「それに元々お酒飲まないし」
彼女もまた飲まない。年齢からもそうであるが何よりも彼女もまた酒については兄と同じ体質なのである。つまりかなり弱いのである。
「それに煙草も」
「御前は煙草嫌いだったな」
「そうよ。あんなの何処がいいのよ」
顔を顰めさせての言葉だった。
「全く。このお店もそういえば」
「禁煙だな」
「そうね」
見ればそうだった。ちゃんと壁にそれを書いた紙が書かれている。それを見ればすぐにわかることだった。無論品書きもそこにはある。
「じゃあ心置きなくね」
「そこまで嫌いか」
「大嫌いよ」
こうまで言うのだった。
「煙草なんてね」
「俺も吸わないからな。では座るとするか」
「ええ、じゃあね」
空いている席に座ってそのうえで串カツを次々と注文する。頼むのは普通のものだけでなく鱧に貝、それに海老に烏賊に蛸だった。海の幸が多かった。
そしてだ。ソースに浸けるがここでだ。未久が言ってきたのだ。
「ねえ」
「わかっているな」
「だから言ったのよ。二度漬けはよね」
「それは絶対に駄目だ」
それだけはというのだ。
「何があってもだ」
「わかってるわよ。そんなことしないわよ」
未久も自分から言っただけはあった。わかっていた。
「何があってもね。ただ」
「ただ、だな」
「世の中実際にそれをする人もいるのね」
「色々な人間がいる」
牧村もまたその串カツをソースに浸けて食べながら話す。
「それをする人間もいる」
「許されないわね」
「味噌汁を飲んだ後の味噌汁茶碗に痰を吐く者がいる位だ」
「それっておかしいでしょ」
未久はそれを聞いて思わず顔を顰めさせた。
「何よ、それ」
「しかし実際にいる」
また話す彼だった。
「そうした人間もいるからだ」
「二度漬けもなのね」
「いる。世の中マナーを知らない人間も多い」
「許されないことね」
「だからだ。それにしても」
「そうね」
話は自然に進んでいた。本当に自然にである。
「この串カツね。美味しいわよね」
「串カツだけじゃない」
それだけではないともいう彼だった。
「キャベツもな」
「そうそう、それそれ」
まさにそのキャベツだというのだ。未久もそのキャベツを食べている。爪楊
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