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髑髏天使
第三十四話 祖父その十五
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ていた」
「少なくとも髑髏天使になるつもりは毛頭なかった」
 牧村はまた彼に返した。
「それはな」
「なかったか」
「人だ」
 だからだというのだ。
「人が相手ならばだ」
「そうする必要はないか」
「髑髏天使はあくまで魔物と闘う存在だ」
「そうだ。それ以外の何者でもない」
「その通りだな」
「それで貴様はだ」
「俺はか」
 牧村も彼に応える。
「どうだというのだ?」
「これでまた踏み止まった」
「人であることにか」
「そのまま人でいることだな。それにだ」
「今度は何だ」
「今智天使だったな」
 今度話してきたのは天使としての階級だった。それだった。
「もう一つある」
「最上位か」
「そうなる。それはわかっておくことだ」
「わかっている。だが」
「だが?」
「それになればどうなるか、か」
 それを言うのであった。
「私もあの階級については詳しくは知らない」
「神である貴様もか」
「何故ならそこにまで至った者は殆どいない」
 だからなのだというのだ。
「それで知る筈もないと思わないか」
「そうだな。それは確かにな」
「だからそれについてはわからない」
 また言う彼だった。
「だが。それはさらに人であることを超えるものだ」
「そうなのかもな。では、だ」
「また会おう」
 ここまで話して踵を返した。
「それではな」
「そうだな。またな」
 二人はこれで話を止めた。死神は立ち去った。そしてそのうえで牧村もランニングに戻った。彼の大阪での己を見つける旅はまだ続くのだった。


第三十四話   完


                2010・3・30
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