第三十四話 祖父その十一
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「言っている意味はわからないけれど食べることがいいのは確かね」
未久もそれはいいとした。
「じゃああれね。これからきつねうどんも食べて」
「それでアイスキャンデーもね」
「そうだ、それも食べる」
「わかったわ。じゃあ付き合うから」
「食べられるな」
「育ち盛りだからね」
笑って兄に返す。
「幾らでも食べられるわよ」
「それはわかった。しかしな」
「今度は何?」
「俺と同じだけ食べてもだ」
牧村も自分がどれだけ食べているのかはわかっている。かなりの量なのも自覚している。そうしてそれを踏まえて妹に対して言うのだ。
「それでその大きさか」
「お兄ちゃんもそれ言うの?」
「体操をしているにしても不思議だ」
やはり言うのだった。
「御前は大きくならないな」
「いいじゃない。それはそれで人気があるんだし」
「人気があるのか」
「小柄な女の子はそれはそれで人気があるのよ」
このことを自信を持って言うのだった。
「ちゃんとね」
「だからいいのか」
「若奈さんだって小さいじゃない」
彼女の名前も出してみせたのだった。
「というか妹さん達も全員」
「確かにあの姉妹は誰も小さいな」
「若奈さん達がどれだけ食べるかは知らないけれど」
「あまり食べない」
即答だった。
「御前の三分の一程か」
「それだけなの」
「しかし。御前は昔からよく食べるが」
「うん」
「太りもしないな。体質か」
「いい体質よね。太らない体質って」
自分のそうした体質は非常に感謝している。生んでくれた両親と天に対してだ。それは深く感謝しているのである。
「それって」
「そうだな。俺はどうか」
「そうじゃないの?というかお兄ちゃんってすぐに筋肉がつく体質よね」
「そうかもな。それはそれでいい体質だな」
「運動するにはね。私はあまり筋肉ムキムキにはなりたくないけれど」
このことについては拒否反応を見せるのだった。
「やっぱり。可愛いままでね」
「いたいか」
「はい、それは」
こんな話をしてであった。二人で食べ続ける。そしてアイスキャンデーを食べた後でだ。不意に前で女の子達に絡んでいる柄の悪い三人組を見た。
「あの、すいません」
「私達これで帰るんで」
「だからもうこれで」
「放して下さい」
こう言って三人組から放れようとする。しかし三人はそれを放そうとしない。
「いいじゃねえかよ」
「そうだよ。ちょっとの間だからさ」
「なあ」
「馬鹿共がいるな」
牧村はその彼等を見て呟いた。
「今時珍しい古典的な馬鹿共だ」
「古典的なのね」
「そうだ、古典的な」
その三人組を見ての言葉である。
「馬鹿共だ」
「あの人達が馬鹿だっていうのはわかったけれど」
未久は兄のその言葉
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