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SAO─戦士達の物語
SAO編
三十三話 狭き世の中
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「なによ、人をみそっかすみたいに」
ぷぅっとむくれるサチを見て、俺は思わず噴き出す。

「くく、いきなりモンスターに近づくのがおっかねぇんだろ。相変わらずだなサチ」
「へ!?あ……えと……」
「そうそう!やっぱり昔っから?」
そう問いを返して来たケイタに、俺は頷く。

「あぁ。昔っからかなり臆病でな?小二くらいの時に……」
「ストーップ!それ以上言ったら私も色々しゃべるからね!?」
「っと、それは怖いな……」
やめておこう、此奴には色々知られてる事も多いし。

「へー……サチ、後で少し教えて──「おーっとっとぉ!人の過去は余り探らない物だよキ―リトくぅん!」」
騒いでるうちに黒猫団の連中も集まって来て、結局、その後はただの宴会になった。
ちなみに、その流れでキリトは黒猫団に入る事にしたらしい。
まぁキリト自身も居心地よさそうだったし。人の輪に入るいい経験にもなるだろう。

それからしばらくの間、俺はキリトやサチの様子見がてらに彼らと関わり合う事になった。

────

「んじゃまぁ、帰るわ」
「うん……またね」
宴会も終わりへと近付き、黒猫団のメンバーが未だに歓迎と評してキリトとドタバタ騒ぎをやっている中、俺は遅くなる前にと酒場を出た。
眼の間には見送りに来たサチがいる。

「まぁ、ちょくちょく様子見に来るからよ。一応俺のかわいい義弟なもんで、よろしく頼むわ」
「わかってる。私にとっても新しい仲間だもの、皆ともきっとすぐ仲良くなるよ」
「はは、もう既にって感じだけどな」
「ふふ……そうだね」
後ろから聴こえて来る騒ぎ声を聞きつつ、俺とサチは互いに笑い合う。
そこでふと、俺はサチに聞きたい事が有るのを思い出した

「そう言えば……よぉ」
「え?」
サチが首を傾げるのを見ながら、俺は更に言葉を紡ぐ。

「……大丈夫か?」
「…………」
普通に聞けば質問になっていないその言葉から、サチは俺の言いたい事を察したのだろう。俺の眼を真っ直ぐに見つめ返し、答える。

「大丈夫だよ……もう、リョウの後ろに隠れてた時の私じゃないよ?」
どうやら、愚問だったらしい。
彼女とて、此処まで登って来た立派な戦士の一人、あんな話をしてはいても、既に俺の知る、ただ臆病なだけの少女では無いのだ。
今の問いは、むしろ無礼に当ると言う物だっただろう。

「そりゃ失礼。……けどな」
しかし、それが分かっていながらも俺は自然と言葉を紡いでいた。
それが自分の知るサチを自分の中でまだ消してしまいたくなかっただけの独りよがりなのか、もしくはご自慢の勘が働いた事によってサチの心の内を見透かしたのかは分からないが……

「無理はするなよ?ま、危なくなったらいつでも駆けつけて助けてやるから」
「うん。
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