第三十三話 闘争その二十二
[8]前話 [2]次話
「それではだ。これからだが」
「どうする?」
「心を鍛えに行く」
死神から踵を返しての言葉だった。
「これから。そこに行く」
「心をだな」
「そうだ。また会おう」
彼に背を向けて歩きながらの言葉だった。そのうえで己のサイドカーに向かう。
「何時になるかはわからないにしてもだ」
「安心しろ。魔物達は貴様の前に現われる」
「それは避けられはしないか」
「そして私もまた」
彼自身もだというのだった。
「現われることになる」
「魔物を刈りにか」
「貴様を見る為でもある」
彼もその中に入っているというのだった。
「その貴様をな」
「そうか」
「そうだ。見させてもらう」
また言ってきた彼だった。
「よくな」
「なら見るといい」
彼はそれを拒みはしなかった。
「好きなだけだ。どういったふうにもな」
「そうか」
「何かね」
ここで目玉も出て来たのだった。
「君も色々あるね」
「貴様も出て来たか」
「僕はいつもいるから」
こう言ってきたのであった。
「君のことを見ているよ」
「それは何故だ」
「嫌いじゃないからね」
だからだというのである。
「君みたいな人間は嫌いじゃないんだ」
「それは何故だ」
「一生懸命なところだね」
彼のその点を言うのであった。
「そこがいいからね。だからね」
「そうか」
「君はあまり感情は出さないけれど」
それは牧村の性格である。彼はその感情は表には出さない。しかしそれでも目的の為に何かを必死にする。それが彼なのである。
「それでもわかるからね」
「そうか。わかるか」
「うん、君は人間でいないと駄目だよ」
こう彼に言うのである。
「絶対にね」
「言われずともそうする」
彼の言葉も既に決まっていた。
「そういうことでだ」
「帰るのか」
「また会うことになるな」
サイドカーに乗りそのうえでヘルメットを被るのだった。既に顔は見えなくなっている。
「その時にまただ」
「そうだな。会うとしよう」
「また会おうね」
死神だけでなく目玉も言ってきた。
「魔物になればその時は、だがな」
「その時は好きにするといい」
牧村もその時はというのであった。
「魂でも何でも刈るといい」
「ではだ。そうさせてもらう」
「またね」
こうやり取りをして別れる三人であった。闘いは終わった。そしてお互いのバイクに乗り今は別れるのであった。
第三十三話 完
2010・3・17
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ