暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第三十三話 闘争その二十一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「確かにその男は最低だった」
「生徒から見てもか」
「生徒だったからこそ余計によくわかる。そうなるべき輩だ」
「そうか」
「そう考える。生きるべきではなかった」
 こうまで言うのであった。彼もまた。
「こうした人間はだ」
「生きるべきではなかったか」
「世の中そうした人間もいる」
 死神の言葉は冷酷ですらあった。
「残念かどうかまでは私は言わないがな」
「そうだな。そうした人間もいる」
 牧村もその言葉を肯定した。
「かつてはそうは思わなかった」
「かつてはか」
「しかし今は違う」
 そしてこう言うのだった。
「今はだ」
「そう考えるようになったのは」
 またその暴力教師の骸を見てそれから言う死神だった。
「この輩を見てからか」
「そうだ。まさしくそうだ」
「そうだな。この輩はまさにそれだ」
「何故そうなったかだ、問題は」
 牧村はこうも言った。
「そいつもだ。最初は違っていた筈だがな」
「環境だ」
「環境か」
「この輩は暴力を振るいそれが許される世界にいた」
 そうだったというのである。
「だからこうなったのだ」
「何も言われない世界か」
「チェック機能だったな」
 死神はこうした言葉も出してみせた。
「人の世界ではそう呼ばれているがな」
「チェックか」
「それがない世界にいた」
 それこそまさに教師の世界であるのだ。教師の世界は閉鎖的なだけではなく彼等をチェックする機能が内外に存在していない世界であり続けたのだ。
「だからこうなった」
「それでか」
「そして教師の世界は権力者の世界だ」
 死神は教師の世界についても言及した。
「それもわかるな」
「生徒を教え影響力を与える」
 牧村が言うのはこのことだった。
「それこそつまり」
「そうだ。権力だな」
「その通りだな」
「世の中それを理解している人間は少ないようだがな」
「しかし教師は権力者だ」
 それは否定できることではないというのだった。人に影響を与えることができ支配することができるとすればそれはまさしく権力者である。即ち教師というのはそれ自体が権力者なのである。
「そしてチェック機能のない権力ならば」
「必ず腐敗する」
 死神はまた言った。
「それも確実にだ」
「尚且つ極限までだな」
「だからこそそうした人間になった」 
 まさにそうだというのだ。
「生きるべきではなかった人間にだ」
「そして永遠に等しい時間責め苛まれ」
 地獄の責め苦という意味である。
「そのうえで永遠に人に生まれ変わらないか」
「寄生虫や病原菌に生まれ変わり続ける」
 死神の言葉は相変わらず冷酷なままである。
「人になることは最早絶対にない」
「罪の結果か」
「そしてだ。言っておく」
「今度は俺
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ