第三十三話 闘争その十八
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「俺もまた強くなったということだな」
「その強さが問題なのだ」
「そうだ、その強さがだ」
「それこそがだ」
死神達はそれぞれの口で言うのだった。言いながらそれぞれの鎌で髑髏天使に襲い掛かる。だが髑髏天使は全ての攻撃を受けていた。
「貴様が魔物になる原因なのだ」
「強さこそがだ」
「闘いの中に生き闘いに飲み込まれる」
髑髏天使は博士や妖怪達との話をここで思い出していた。
「それだけではなくか」
「そうだ。手に余る強さはそれを手にする者を溺れさせる」
「それによっても魔物になるか」
「その通りだ」
まさにそうだというのだ。
「貴様は飲み込まれるかどうかをだ」
「見たいのだな」
「さあ、どうする」
あらためて彼に問う。
「この攻撃を受けるだけか」
「受けるにも限度がある」
「ならばだ」
「どうする?」
「無論受けるだけではない」
髑髏天使の方もそれは否定した。
「むしろだ」
「むしろか」
「ではどうする」
「それを見せてもらう」
「いいな」
こうして再び鎌を振るう。だが髑髏天使はそれを受け続けていく。
そうしてだ。不意に右手に持つ剣を横に回転する様に振ってきた。そうしてだった。
死神の一体を斬ったかに見えた。しかしだった。
「むっ!?」
「残念だったな」
その死神が消えると共に声がしてきた。
「それは幻影だ」
「幻術も共に使ってきたか」
「そうだ。分身はただそれだけでも芸がない」
こう言うのである。
「こうしたこともできるのだ」
「そうか」
「それではだ」
「この場合はだ」
「どうする?」
「どうするもこうするもない」
言いながらまた構えに入る。そして。
死神達の鎌を左手のサーベルで受けてだ。右手の剣を今度は突き出した。そのうえで前にいた死神の一体を貫いたのだった。
「今度もか」
「如何にも」
また姿が消えてであった。声だけが聞こえてきた。
「その通りだ」
「だが攻撃はできるのだな」
「身体は実体でなくとも鎌は違う」
「鎌はか」
「そうだ。違う」
こう言ってまた攻撃をしてきたのだった。だが髑髏天使はそれも受ける。
そうして攻撃を繰り出しているが髑髏天使は今度は剣を上から下に一閃させた。そうしてそのうえでまた死神を一体消したのであった。
「残るは一人か」
「今度は安心するのだ」
その最後の死神が言ってきた。
「私は実体だ」
「実体か」
「そうだ、実体だ」
つまり死神自身だというのである。
「それは言っておく」
「そうか。それならだ」
「確かに貴様は強くなった」
ここでまた言ってきた死神だった。
「しかしだ」
「しかしか」
「その心はどうか」
それを問うのだった。
「人間のままか」
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