第三十三話 闘争その三
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「そして選ぶとすればだ」
「剣道じゃな」
博士が横からバームクーヘンを食べながら言ってきた。フォークで小さく切ってそれを口の中に入れている。その横にはコーヒーもある。
「それじゃな」
「そうだ。それを考えている」
まさにその剣道をだというのだ。
「フェシングと通じる。やるからにはそれをしたい」
「考えてるんだ、そういうことも」
「剣を使うからそれだっていうのまで」
「俺が柔道や空手をしても何にもなりはしない」
こうしたことも話した。
「だからこそだ。俺は剣道を見てみたい」
「答えは決まったな」
博士は彼のこの言葉を聞いてまた述べた。
「それではじゃな」
「そうだ。それに剣道ならだ」
彼はここでだ。いつもの様に白い壁に背をもたれかけさせたその格好のままだ。確かな口調で言ってきたのであった。
「知っている人間もいる」
「へえ、知ってる人いるんだ」
「剣道をやっている人に」
「そこに行こうとも考えている」
「よいことじゃな」
博士はそれを聞いてその通りだと頷いた。今はコーヒーを右手に持ちそのうえで口に近付けている。そのうえでの彼に対する言葉だった。
「それは」
「そう思うのか」
「知り合いがいればそれに越したこともない」
こうも言うのだった。
「だからじゃ」
「そうか。それならだ」
「剣道も人を選ぶものといいますしね」
今度言ってきたのはろく子だった。その長い首を博士の周りに幾重にもした様にリングを作りながらだ。そのうえで言ってきたのである。
「ですから」
「そうじゃな。何でもそうじゃが」
「全てが全てではないですが中には剣を持つのに値しない人間もいますよ」
その眼鏡をかけた知的な美貌の顔での言葉だった。
「竹刀を暴力の道具にしか考えていない人間も」
「ああ、いるよね」
「そういう人間はね」
「特に学校の教師に多いんだよね」
他の妖怪達もその通りだと話す。
「そういう奴ってね」
「普通の職場とか道場だったら一発で問題になるか首だけれどね」
「教師の世界って暴力振るっても何の問題もないしね」
「だからね」
「我が国の言葉だ」
ここでまた牧村が言った。
「いい鉄は釘にはならない」
「そうだよね。そして」
「後に続く言葉は」
「いい人間は教師にはならない」
まさにそうだというのだ。
「そういうことだ」
「何でかな、これって」
「学校の先生ってね」
「おかしくなるんだろうね」
「最初からおかしいのも多いけれど」
そうした教師が多いのもまた事実である。恐ろしいことにだ。
「そういう人間が人を教えるからね」
「しかも竹刀持って人を教えるから」
「洒落にならないんだよね」
「まあわしもじゃな」
また言う博士であった。
「この
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