第三十二話 変貌その十一
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「それをか」
「その通りだ」
「貴様はどうなのだ?それは」
「俺は」
魔物達の言葉にだ。まずは口ごもってしまった。
それが何故かはわからない。本来なら否定の言葉がすぐに出る筈であった。しかしそれが何故か出ずにそうなってしまったのである。
「戦うことはだ」
「ふん、まあいい」
「それではだ」
魔物達は動きだした。髑髏天使もそれを見てである。すぐに智天使の姿になった。白銀に四枚の翼の天使の姿になったのだ。
そのうえで早速来た鎌鼬のその攻撃を左手の剣で受けてみせた。
攻撃を受けてからだ。髑髏天使は魔物に対して言うのだった。
「素早いか」
「俺は風の魔物だ」
鎌鼬は至近で彼の目を見ながら言ってきた。
「素早いのも当然だ」
「そうだな。それはな」
「そしてだ」
魔物はさらに言ってきた。
「俺だけではない」
「来るか」
「如何にも」
土蜘蛛の声だった。彼は赤い糸を出してきた。
鎌鼬が上に飛ぶのと入れ替わりに糸が来た。それで彼を捉えようとする。
「来たか」
「さあ、どうする」
糸を放ちながら髑髏天使に問うてきた。
「この糸はだ」
「知れたこと」
言いながらであった。翼を羽ばたかせる。四枚の翼が同時に動いた。
そしてであった。空に舞い糸をかわしてみせた。糸はつい先程まで彼がいたその空間を空しく通り過ぎた。それだけであった。
しかし魔物はそれを見てもだ。何も動じたところはなかった。
そうしてそのうえで。こう言ってみせたのである。
「それでだ」
「それで、か」
「そうだ。かわしたと思っているな」
己の上にいる髑髏天使への言葉である。
「そうだな」
「だと言えばどうだというのだ?」
「甘いな」
一言だった。
「そう思うのならばだ」
「そうか」
「何っ!?」
「そうかと言った」
髑髏天使の返答は異様なまでに落ち着いていた。魔物はその落ち着きは予想していなかった。だから今驚いた言葉を出してしまったのである。
「それがどうかしたのか」
「それだけか」
「そうだ、それだけだ」
平然と返すのは変わらなかった。
「俺の今の相手は貴様だけではない」
「そうだ」
「ではそういうことだ」
やはり言葉は平然としたものであった。
「もう一人いるからな」
「くっ、読まれていたか」
ここで鎌鼬が横から奇襲を仕掛ける。髑髏天使から見て右手だ。だが彼は魔物のその鎌を右手の剣を一閃させることによって弾き返してみせたのである。
そのうえでだ。彼は言うのであった。
「一人でないとわかっているならだ」
「対処は容易いとでもいうのか」
「如何にも。この通りだ」
落ち着き払った言葉で応えたのだった。
「これでわかったな」
「やるものだな」
「だか
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