第三十二話 変貌その二
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「別に」
「そうか、じゃあ俺の考えは間違いじゃないんだな」
「間違いではありません。ただ」
「ただ。何だ?」
「もう少し楽しみたいものです」
こう言うのである。老人の言葉だ。
「私としてはです」
「俺はだ」
大男も言ってきた。
「もう少し遊びたいな」
「貴方もですか」
「これで我々の中に入れば」
また話す老人だった。
「どうなるかもですし」
「このまま戦うのもいいな」
青年も言ってきた。
「そうは思わないか」
「戦いも楽しみですか」
「俺は戦いを見られればいい」
それが彼の考えなのだった。
「それだけだ」
「そうか。それだけか」
「貴方はなのね」
他の魔神達が青年に対して言う。
「それも確かにいい」
「このまま戦うのも」
「だが」
そしてさらに話は続く。周りの人間達は一切見ていない。
「より面白くする為には」
「どうなればいいか」
「それが問題だが」
「仕掛けてみますか」
老人は楽しそうに笑いながらまた述べた。
「ここは」
「仕掛けるのだな」
「はい」
まさにそうだと紳士の言葉に応えて頷く。
「少し」
「そうか。それではだ」
「今回はだ」
「貴殿に全て任せるとしよう」
「有り難うございます」
老人は仲間達の問いを温和な笑みで受けて言葉を返した。
「では早速」
「見せてもらうとしよう」
「それをな」
こんな話をしながらお化け屋敷の中を進んでいく。そしてその周りを見回しながら女が楽しそうに笑ってそのうえで言うのであった。
「人間もね」
「そうだな」
男もだった。何と仏頂面の彼の口元が微かだが綻んでいる。
「中々面白い趣味を持っている」
「楽しいことは楽しいわね」
「うむ」
こう言い合うのだった。そのお化け屋敷の趣向を見ながらだ。
「退屈はしないわ」
「戦いもいいがだ」
「僕はさ」
子供はかなり純粋に楽しそうな顔をしている。
「今で充分楽しいよ」
「充分なのだな」
「うん」
明るい声も出して青年に対しても答える。そのうえで彼に対して問うた。
「バジリスクはどうかな」
「俺か」
「うん。君はどうなの?」
「悪くはない」
笑いはしないがこう答えたのだった。
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