SAO編
二十九話 輝眼の悪魔と双刀の黒衣
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得ないし、出来たとしてもろくに使えないとされた、二本の剣を同時に操る技術。
エキストラスキル《二刀流》
それが、キリトの切り札の名である。
足元で二本の刃を振り回すキリトに対し、グリームアイズは残った右腕で斬馬刀を持ち、抵抗する様にそれを振るうが、片腕を俺が切り飛ばしたため奴のメインスキルである両手大剣技を発動させる事が出来ず、脅威が半減している。
状況だけを見れば、攻撃するという点でキリトにとってはこれ以上ないチャンスと言えよう。
だが、だからと言ってグリームアイズの筋力値が消えてなくなった訳ではない。
悪魔は片手でも軽々と斬馬刀を振り回し、その度にキリトのHPは確実に削られていく。
しかしアドレナリンが過剰分泌されているのか、それすらもキリトは意に介することなく二刀流のソードスキルを繰り出し続けて行く。
ある意味で、狂気すら感じさせる姿だ。
「キリト君……」
「キリトぉ……」
アスナとクラインが、不安げな声を出す。
その横で俺は何をしていたかと言うと……凄まじい速さで動くキリトの剣を眼で追い続けていた。
『11、12……13、14、15……』
繰り出され続ける連撃。
みるみるうちに、悪魔とキリトのHPが減って行く。そして……
「…………ぁぁぁああああ!!」
『16!』
キリトが喉よ裂けよとばかりに咆哮しながら放った十六発目の突きが、悪魔の胸に吸い込まれるように直撃した瞬間。
まるでその存在がまるで幻だったかのように、蒼い悪魔は断末魔の叫びを残して四散した。
と同時に、キリトは糸が切れた操り人形のように床にうつ伏せで倒れこむ。
『《スターバースト・ストリーム》……』
キリトから聞いていた特徴から、あいつの使った技を推測する。
『一発じゃ慣れねぇとはな……』
あのスピードは異常だった。
いや、スピードに関してのみ言うならば、アスナの方がキリトよりも勝っているだろう。
しかし、それをおいてもなお、あのスピードであの連撃を繰り出し続ける姿には、正に別次元ととも言うべき強さが垣間見えた。
俺の物とはまた違う、圧倒的な攻撃力。
『こーりゃあいつにも届くんじゃねぇのか……?』
アスナ達が名を呼びながらキリトに駆け寄る姿を見ながら、俺はそんな事を考えていた。
────
気絶したキリトが目を覚まし、アスナに叱責されたり、クラインから被害の報告を受けたりしている。
結果として、第七十四階層フロアボス。輝く目こと、《The Gleameyes》討伐戦は、軍の無謀な突撃に救援を行った少数の攻略組プレイヤーによるギリギリの勝利と言う、少々奇妙な形で終わりを告げた。
被害としては、軍の精鋭部隊から、コ―バッツ中佐を含む三名が死亡。
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