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髑髏天使
第三十一話 赤眼その二十七

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 そしてその中でだ。彼は最後の言葉を出しているのだった。
「貴様の切り札はこれだったのか」
「私は貴様よりも多くの魔物を出すことができる」
「それを隠していたのか」
「貴様は一体でもかなり強い」
 魔物の実力はわかっていたというのだ。
「だが」
「だが、か」
「それでも闘い方がないわけではない」
 そうだというのだ。
「そして切り札を見せないこともだ」
「闘い方の一つだというのだな」
「如何にも」
 そしてそれが今だったのである。
「貴様は強い。容易に手を見せてはだ」
「敗れるか」
「その可能性はあった」
 まさにそうだと。赤い炎に包まれていっている魔物を見据えての言葉だった。
「だからこそだ」
「切り札は隠していたのだな」
「そういうことになる」
「よくわかった」
 ここまで聞いて満足した顔になる魔物だった。既にその身体は燃え上がろうとしている。
「それではだ」
「死ぬのだな」
「もう名残りはない」
 実に満足しきった言葉だった。
「思う存分闘った。だからな」
「その魂は冥界に行く」
「冥界でも闘えるな」
 魔物はこのことを死神に問うてきた。
「それもだな」
「そうだと言えば?」
「ならばいい。また出て来るまでの間はだ」
「死ぬというのだな」
「そうさせてもらう。それではだ」
 遂にその全身が赤い炎に包まれた。そうして。
「また会おう」
「ではな」
 こうして魔物は赤い炎となり消え去った。彼もまた闘いを終えた。
 闘いを終えた死神は髑髏天使を見る。するとであった。
 その目を見てだ。言うのだった。
「やはりな」
「何かあるのか?」
「私の見ていた通りだ」
 こう言ったのである。
「貴様はやはり」
「俺がどうかしたのか」
「変わろうとしている」
「魔物と同じことを言いたいらしいな」
「その通りだ。その目がだ」
 目を見続けていた。その人のものの目をである。
「見ればわかる」
「目が、か」
「目が赤くなれば」
 死神はその彼にまた話した。
「私は貴様に対してだ」
「どうだというのだ?」
「刈る」
 一言だった。
「魂を刈らせてもらう」
「俺の魂もか」
「そのことは覚えておくことだ。それではだ」
「帰るのか」
「闘いは終わった。そして言いたいことも言った」
 髑髏天使に踵を返したうえでの言葉だった。
「それならばだ」
「用はないか」
「そういうことだ。それではだ」
 死神は姿を消していった。そうして夜空から消えたのだった。
 彼が消えると髑髏天使も自分の家に戻った。そして牧村に戻りそのうえで照らすから部屋に入った。ゲームに戻っているとまた未久が部屋に来た。
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