第三十一話 赤眼その二十五
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「また何かあるのだな」
「それはやがてわかる」
「だが。一つ言っておこう」
「面白いことをだ」
魔物達の攻撃を繰り出しながらの言葉は続く。その間も髑髏天使に同胞達を斬られながらも。それでも攻め続け言い続けるのだった。
「魔物はどの者も最初から魔物だったのではない」
「このことをだ」
「言っておこう」
「魔物にはなるものか」
「そうだ」
「その通りだ」
まさにそうだというのである。
「魔物はなるものだ」
「人もまた然りだ」
「人もまた魔物になるのだ」
「だとしてもだ」
髑髏天使はその言葉に対しても返した。
「それは俺ではない」
「ふむ、断言か」
「断言するのだな」
「俺は俺だ」
こう言ってみせたのである。
「それ以外の何者でもないからだ」
「口ではそう言える」
「そして自分でも気付かないものだ」
「それはだ」
わからないというのが魔物達の言葉であった。
「しかし。魔神も今は十二柱」
「きりといえばいいがだ」
「それでもだ」
「何が言いたいのだ?」
「ふふふ、やがてわかる」
「やがてな」
そこから先は言おうとしない。魔物達もだ。
「だが。今はだ」
「闘いに専念させてもらう」
「それでいいな」
「闘いを避けることはない」
髑髏天使はさらに迫り来る魔物達を次々に斬り青い炎に変えながら言っていく。
「それが髑髏天使なのだからな」
「闘い、闘い続ければだ」
「それでいいのだ」
「それこそがだ」
魔物達は楽しんでいた。それは今の闘いだけを楽しんでいるのではなかった。
その声を出しながらさらに攻撃していくのだった。そのうえで髑髏天使の目を見る。
「そうだな、それだ」
「目がよくなってきている」
「うむ、目がだ」
「目がどうしたという」
髑髏天使はそれを聞いても態度を変えない。冷静なまま魔物達を倒す。ただそれだけであった。
やがて魔物の数は減っていく。そうしてであった。
最後の一体を前にしていた。
「来るのだな」
「我は魔物」
これがその最後の魔物の言葉だった。
「それならば当然だ」
「闘うというのか」
「その通りだ、背を見せることはない」
こう言って前から襲い掛かってだった。右手の剣に貫かれた。
それで終わりであった。最後の魔物からも青い炎があがった。
魔物は青い炎をあげながら。最後の言葉を出すのだった。
「いいことだ」
「倒されていいというのか」
「そうだ、いいのだ」
その言葉は偽りではなかった。実際に顔まで笑わせていた。
その顔での言葉だった。さらに言うのである。
「このままだ」
「このままか」
「そうだ、なるのだ」
髑髏天使に向けた言葉だった。
「いいな、そのままなるのだ」
「言っている
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