第三十一話 赤眼その十五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「それでだけれどね」
「他の適当なのを持って行け」
「何本でもいい?」」
「今やっているゲーム以外なら何でもいい」
こう答えた。実際に彼は今プレイしているゲーム以外には興味がなかった。ただそれだけを集中してプレイしているのである。
「何本でも持って行け」
「わかったわ。それじゃあね」
それを聞いてであった。未久も頷いてだ。そのうえで兄の部屋の中にさらに入りソフトを何本か持って行くのであった。
そして扉のところに戻ってだ。兄の方を振り向いて告げた。
「借りたから」
「何本だ?」
「五本」
こう答えた。
「五本貰ったから」
「そうか、わかった」
「後で返すから」
このことはちゃんと言うのだった。
「それは安心してね」
「部屋に置いておいてくれたらいい」
「私の部屋は入らないでね」
妹はここでこんなことも言ってきた。
「それはちゃんとしてよね」
「俺の部屋に入ってもか」
「女の子の部屋は聖域なの」
だからだという。かなり一方的な言葉ではある。しかしそれでも言うのだった。
「だからよ。入ったら駄目よ」
「女の部屋は誰も入られないのか」
「同じ女の子はいいわよ」
それはいいというのである。
「ただし男の子は駄目よ」
「俺もか」
「当たり前よ。お兄ちゃんも男じゃない」
だからそれは当然だというのである。
「ついでに言えばお父さんもね」
「家の男は全員駄目なのか」
「入っていい男の子は一人だけ」
しかしこうも言ってみせるのだった。
「一人だけよ」
「誰だ、それは」
ゲームをして正面を見ながらの言葉だった。
「その入っていいたった一人だ」
「彼氏よ」
それだというのだ。
「彼氏だけ、入っていいのはね」
「そいつだけか」
「とはいってもまだいないけれど」
ここではその口調が少し寂しげでかつ残念なものになった。
「これから作るし」
「そうか、わかった」
「あれっ、何も言わないの」
ここで意外な顔になる未久だった。それは何故かというとだ。
「私に彼氏ができても」
「まともな彼氏ならそれでいい」
それでだというのである。
「それならな」
「そうなんだ」
「ただしだ」
しかしであった。ここで彼は妹に対して言うのだった。
「おかしな奴には気をつけることだ」
「悪い男はってこと?」
「悪い女もいれば悪い男もいる」
両方を言うのだった。
「悪い友人と悪い彼氏は持つな」
「両方なのね」
「悪人はそれに気付いたら避けることだ」
そうしろとも忠告した。
「わかったな」
「まあそういうのは気をつけているけれど」
「し過ぎるにこしたことはない」
こうも話した。
「わかったな」
「人間関係は大変なのね」
「それが一番大
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ