第三十一話 赤眼その十一
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「千葉にもなかったし」
「あの海風の強いスタンドではなかったのか」
「そう、まあかなり昔の話だけれど」
もう遥かな話になってしまっていた。時が為す業である。
「その時にね。選手の人達にも食べ物のことで言っていたのよ」
「その話は何処かで聞いたな」
「結構有名な話だから」
「金田さんの話もな」
それもだという。彼は尚も腹筋を続けながら話す。
「聞いたことがある。今思い出した」
「そうなの。とにかくね」
「食べるものはか」
「牧村君は物凄いカロリーを消費してるから」
そのカロリーの話だった。
「かなり食べても大丈夫よ」
「かなりだな」
「普通の人の倍は食べてもね」
「つまり俺は金田さん並に身体を動かしているのか」
「そう思うわ、私も」
具体的にそうだと。若奈も話した。
「バランスよくたっぷりとね」
「量も多くか」
「あとお酒は・・・・・・飲まなかったわね」
「酒は駄目だ」
彼は下戸である。だからこのことは何の問題もなかった。彼は酒は飲めないのだ。体質として受け入れられないのである。
「そっちはだ」
「そうだったわね。じゃあそれはいいわね」
「そして煙草もだ」
「それは吸わなくて全然構わないから」
煙草はもう全否定だった。
「というか煙草はね」
「身体によくないというのだな」
「よくないどころか最悪よ」
そこまで言うのだった。またしても全否定だった。
「煙草なんて吸ったらそれこそ」
「すぐに息があがってしまうな」
「スポーツ選手には厳禁よ」
それはとにかく絶対に駄目だというのである。
「歌手でもそうだけれど」
「喉や肺に悪いからだな」
「そう、肺よ」
まさにそこであった。煙草といえばやはり肺である。肺にかなりの影響を及ぼしてしまう、肺癌の原因になっているのは伊達ではない。
「肺によくないから絶対に駄目よ」
「わかった」
それに当然といった面持ちで腹筋しながら応える牧村だった。
「それはもうな」
「まあ牧村君はお酒と煙草はやらないから何の問題もないわ」
「それでいいな」
「別に食事制限とかしなくていいから」
そしてこうも言うのだった。
「白米は駄目とかお肉は駄目とか」
「そういうことも言わないか」
「そこまでいくと極端だし」
だからだという。
「別に玄米や小魚も否定しないけれど」
「それでも制限はしないか」
「じゃあ聞くけれど」
「ああ。何だ?」
「お昼にトーストとか」
軽食である。昼食というよりは朝食向けである。
「クラッカーとか野菜スティックだけで充分?」
「いや」
すぐに否定した牧村だった。
「軽食だと後が続かない」
「だからよ。そういうことは言わないから」
「そうか」
「というか食べないとね、何で
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