SAO編
二十八話 第七十四層攻略中
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たのだ──
────
七十四層 迷宮区
「グルルル……」
リョウは今、背中の毛並みをオレンジ色の炎によってと燃え上がらせた、赤い毛並みでサーベルタイガーの様な獣。
固有名《インフェルン・ファング》と向き合っている。
防御に置いてはこの階層ではさほどの物ではないが、獣型特有の素早さに加え、高い攻撃力を持った、集まると少々厄介な相手である。
実際、数日前に五体で取り囲まれた時は流石に肝を冷やしたものだ。
しかしながら、現在俺の前に居るのは此奴一体。
初めは三体居たのだが、既に内二体は冷裂の凶刃の前に沈んだからだ。
そして先程言ったように、確かにこのモンスターは複数集まれば厄介だが、逆にいえば複数集まらなければ極端に注意すべき相手でも無い。
「ガルアァ!!」
「ふっ!」
得意の俊敏さを活かしてリョウの懐に飛び込もうと跳びかかって来た猫(虎?)に対し、リョウは迎撃のため冷裂を突きだす。
が、何の捻りも無く馬鹿正直に放った突きなど、そうそう当るものでも無い。当然のようにそれは空を突き、突きを右に避けたファングはその勢いのまま一気にリョウの右肩に喰らい付こうとする。
……が、
「慣れたんだよ、その動きは」
そう言いながら、接近してくるファングに二段目の迎撃として用意しておいた右足の下段蹴りを一発。
足技 初級単発技 下蹴《かげ》
「ギャフッ!?」
武器攻撃より攻撃力の低い体術系のスキルとは言え、異常な筋力値にから放たれたそれは、ファングの赤い体を易々と蹴り飛ばす。
足技の、それも基本技と言う非常に技後硬直の短いスキルを使ったリョウの身体は即座に硬直から回復。
蹴られ、冷裂の射程距離内ギリギリの位置に身体を叩き付けたファングに向かって狙いを定め、蹴りを放った時振り上げて置いた冷裂に力を込める。
赤黒いライトエフェクト──
「割れろ、猫科動物」
本日八回目の戦闘が、終わりを告げた。
────
「ふぅ、付いたー付いたー」
いったん迷宮区の上層の方へと登ってから、休憩のため再び中間層あたりに位置するこの迷宮区の安全エリアへと戻ってきたリョウは、昼食が少々遅くなった事も含めて、小さくため息をつく。
それと言うのも、何故か上層からの帰り道に限ってモンスターとのエンカウント率が高く、この安地に戻って来るだけでなんと四回もモンスターと遭遇してしまったのだ。
『そろそろ、この迷宮のボスも他の連中に見つかっておかしくない時期か……』
そんな事を思いつつ、休憩のため座るスペースを確保しようと、安全エリアこと殺風景な広間の左端の壁へと近寄づいて行く。と、
「うわあああああああ!!」
「きゃあああああああ!!」
「何ぞ!?」
ものすごい悲鳴を上げて、一組の男
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