第三十一話 赤眼その九
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「わかっていた。知っているのではなくだ」
「わかってると知ってるってどう違うのかな」
「さあ」
「それはどうなのかな」
「知っているということはただ見ているだけなのじゃよ」
いぶかしむ彼等にまた博士が言ってきた。
「しかしわかるというのはじゃ」
「それはどういうことなの?」
「それで」
「頭の中に入れてしまうということじゃ」
それだというのである。
「そういうことじゃ」
「ふうん、そうなんだ」
「そういう違いがあるんだ」
妖怪達はそれを聞いて少し納得した。まだ完全ではないにしろだ。
「成程ね」
「そうなんだ」
「そういうことじゃよ。さて」
ここまで話して牧村に顔を向けてまた言うのであった。
「わかっておるに越したことはない」
「それはか」
「いいことじゃ。何事においてもな」
「わかった。ではその言葉もだ」
「わかってくれたか」
「わかるように努力する」
ここではこう言うだけであった。
「そうさせてもらう」
「左様か。まあそれではじゃ」
「話はこれで終わりだな」
お互いにここで言ってきた。
「俺はこれでだ」
「部活にじゃな」
「鍛錬は欠かさない」
それは何があろうともだった。牧村はもうそこに考えを及ばせていた。頭の中を切り替えてそのうえで言うのである。
「闘いそして生きる為にだ」
「いいことじゃ。それはな」
「ではだ」
こう話してからトレーニングに入る。ジャージになりそのうえでランニングの後で筋力トレーニングに入る。器具を使って腹筋をしながら一緒にいてセコンドの役割をしているその若奈の言葉を受けているのだった。
「ねえ」
「何だ?」
「最近また動きがよくなってきたわね」
彼女もジャージである。白いジャージでその手にストップウォッチやタオルを持ってだ。そのうえで彼に言ってきたのである。
「さらにね」
「変わったか、また」
「変わったわ。それもよくね」
さらにというのである。
「どうなのかって位にね」
「そこまでか」
「ええ、本当によくなったわ」
また言うのである。その身体をやや斜め下に寝かしてその斜面で腹筋をする牧村を見ながらだ。そのうえで話すのだった。
「ワンランクアップね」
「ワンランクか」
「全体的にね」
それは総合的にだというのだ。
「何かトレーニングはじめてからね」
「はじめてから?」
「どんどんよくなってるけれど最近はさらに」
凄くなったというのだ。
「もう脂肪率とか全然ないでしょ」
「かなり減った」
実際にそうだと返す牧村だった。その間にも腹筋をしている。
「実際にな」
「テニスにフェシングだからね」
「そのせいか」
「それに毎日それだけトレーニングしていたら」
そのことも話すのだった
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