第三十一話 赤眼その六
[8]前話 [2]次話
「それはだ」
「そうじゃったな。しかし飲茶は好きか」
「正直に言おうか」
「うむ」
「好きだ」
そお通りだというのだった。
「麺も炒飯も好きだ」
「では一度行ってみたらどうじゃ?」
今度はにこやかな笑顔になって彼に行ってきた。
「中華街にじゃ」
「そうだな」
言葉を一ステップ置いてからであった。
「それも悪くないな」
「その通りじゃ。美味いものは食べに行くに限る」
「だからか」
「この月餅を売っている店も紹介するぞ」
博士はその月餅をビニールから出してそのうえで口の中に入れていた。薄く固生地の中に白っぽい独特の餡が入っている。それを食べたのである。
「どうじゃ?」
「頼む」
それを是非という牧村だった。
「これは美味い」
「あっ、もう食べてるんだ」
「早いね」
妖怪達が牧村がその月餅を食べているのを見て言ってきた。当然彼等も食べている。笑顔でその中国の菓子を口にしているのである。
そうしながら。妖怪達はさらに言ってきた。
「それでだけれどね」
「牧村さん何を食べるつもり?」
「その中華街で」
「行ってから決める」
そうするというのだった。
「ただ。一人で行くのはな」
「面白くないというのか」
「そうだ。誰かと一緒に行くか」
「ふむ。それならじゃ」
ここで博士は明るそうに言ってきた。
そうしてだった。こう言ってきたのである。
「男同士で行くのもいいが」
「それよりもか」
「彼女と行く方がいいぞ」
こう言ってみせてきたのである。
「それならじゃ」
「女とか」
「牧村さんもてそうだけれどね」
「そうだよね」
ここでまた言い合う妖怪達だった。
「顔いいしね」
「背は高いしスタイルもいいし」
「人間は外見はどうでもいい」
牧村はその彼等にこう述べてきた。
「そうしたものはだ」
「あれっ、いいんだ」
「顔とかはいいんだ」
「顔がよくとも心が腐っていればだ」
こう言うのである。
「それで何にもならない」
「何か深い言葉だけれど」
「過去に何かあったのかな、やっぱり」
「そんな感じの言葉だね」
「なかったと言えば嘘になる」
そして次の言葉はこうしたものだった。
「それはだ」
「そうなんだ。やっぱりあったんだ」
「そんな感じだったけれど」
「そうだったんだ」
妖怪達はその彼の今の言葉を聞いてまた言い合った。
「まあ顔がよくてもね」
「人間も妖怪も性格が悪かったら」
「それでどうしようもないし」
「そしてだ」
牧村はさらに言ってきた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ