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髑髏天使
第三十一話 赤眼その六

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「それはだ」
「そうじゃったな。しかし飲茶は好きか」
「正直に言おうか」
「うむ」
「好きだ」
 そお通りだというのだった。
「麺も炒飯も好きだ」
「では一度行ってみたらどうじゃ?」
 今度はにこやかな笑顔になって彼に行ってきた。
「中華街にじゃ」
「そうだな」
 言葉を一ステップ置いてからであった。
「それも悪くないな」
「その通りじゃ。美味いものは食べに行くに限る」
「だからか」
「この月餅を売っている店も紹介するぞ」
 博士はその月餅をビニールから出してそのうえで口の中に入れていた。薄く固生地の中に白っぽい独特の餡が入っている。それを食べたのである。
「どうじゃ?」
「頼む」
 それを是非という牧村だった。
「これは美味い」
「あっ、もう食べてるんだ」
「早いね」
 妖怪達が牧村がその月餅を食べているのを見て言ってきた。当然彼等も食べている。笑顔でその中国の菓子を口にしているのである。
 そうしながら。妖怪達はさらに言ってきた。
「それでだけれどね」
「牧村さん何を食べるつもり?」
「その中華街で」
「行ってから決める」
 そうするというのだった。
「ただ。一人で行くのはな」
「面白くないというのか」
「そうだ。誰かと一緒に行くか」
「ふむ。それならじゃ」
 ここで博士は明るそうに言ってきた。
 そうしてだった。こう言ってきたのである。
「男同士で行くのもいいが」
「それよりもか」
「彼女と行く方がいいぞ」
 こう言ってみせてきたのである。
「それならじゃ」
「女とか」
「牧村さんもてそうだけれどね」
「そうだよね」
 ここでまた言い合う妖怪達だった。
「顔いいしね」
「背は高いしスタイルもいいし」
「人間は外見はどうでもいい」 
 牧村はその彼等にこう述べてきた。
「そうしたものはだ」
「あれっ、いいんだ」
「顔とかはいいんだ」
「顔がよくとも心が腐っていればだ」
 こう言うのである。
「それで何にもならない」
「何か深い言葉だけれど」
「過去に何かあったのかな、やっぱり」
「そんな感じの言葉だね」
「なかったと言えば嘘になる」
 そして次の言葉はこうしたものだった。
「それはだ」
「そうなんだ。やっぱりあったんだ」
「そんな感じだったけれど」
「そうだったんだ」
 妖怪達はその彼の今の言葉を聞いてまた言い合った。
「まあ顔がよくてもね」
「人間も妖怪も性格が悪かったら」
「それでどうしようもないし」
「そしてだ」
 牧村はさらに言ってきた。
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