第三十話 智天その二十二
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「だからこそ闘いがいがあります」
「そうした方ですから」
「全くです」
こう言って彼に攻撃を浴びせ続けていく。そして遂にであった。
前から来た剣に左肩を切られた。それがはじまりであった。
「むっ」
「さて、まずは最初です」
「一撃目ですね」
「それが決まりました」
こう言っていくのである。
「こうしてです」
「さて、次もですよ」
「一撃目が決まればそこからまた」
「ほら」
言っているその傍からであった。二撃目がその右足に来た。そこから血が流れる。
続いて三度目もであった。今度は背に。髑髏天使は確実にダメージを受けていた。
動きも鈍ってきた。傷口から血も流れる。危ういのは明らかであった。
魔物もそれを察してだ。笑いながら言ってきたのである。
「では私が」
「勝ちます」
「そして勝者に」
「髑髏天使の力を」
彼等は勝利を確信していた。間違いなく。
だがここで。髑髏天使は踏み止まった。そうしてであった。
「まだだ」
「まだ?」
「諦めないというのですね」
「俺の辞書に諦めるという言葉はない」
こう返す彼だった。
「それは言っておく」
「では見せてもらいましょう」
「是非」
魔物達の言葉には感嘆さえあった。
「貴方のその闘いをです」
「是非共ここで」
「見させてもらいます」
「残念だが最後ではない」
ここでまた言うのであった。
「貴様に勝つ」
「私に勝つと」
「しかしどうやって」
「その傷で」
「この程度の傷は傷ではない」
その言葉の間にも剣を受け続けていく。それで全身血だらけになっている。しかしそれでも立っていた。目の光も消えてはいなかった。
そうしてである。彼は言った。
「俺は死なない限りそれは傷とは言えない」
「では」
「まだ立ちそして」
「闘われると」
「行くぞ」
毅然として告げてみせたのだった。
「倒す」
一言であった。
「何があろうともだ」
「むっ!?」
「これは」
髑髏天使が言ったその瞬間だった。
魔物達は感じ取った。彼のその変化にだ。
「どうやらここで」
「貴方は変わられるのですね」
「また」
「!?まさか」
そしてだった。髑髏天使自身もそれを感じ取ってだ。言葉に出すのであった。
「この力は」
己の中に力がこみ上がって来るのを感じ取ったのである。
「まさかここでまた」
「今は座天使なら」
「そしてその上となると」
「いよいよ」
魔物達は攻撃の手を止めていた。それぞれ着地してそのうえで髑髏天使の様子を見守るようになっていた。その彼に起ころうとしていることをだ。
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