第三十話 智天その十九
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だがそれにも限界がある。魔物もそれを見越していた。
「さて」
「何時までできるでしょう」
「そうしてかわすことが」
「何時まででしょうか」
「こうするまでだ」
こう言ってであった。また雷を放ち剣を消そうとする。
しかしであった。その余裕は今はなかった。
かわすだけで手が一杯であった。数が多過ぎる。とてもであった。
「くっ・・・・・・」
「そういうことです」
「この数にはです」
「とても無理な筈です」
魔物達の声は勝利を確信しているものであった。
「この数の剣にはです」
「それはとても無理です」
「しかもです」
「しかも。何だ?」
「今私は言いました」
「お気付きでしょうか」
今度はこう言ってきたのである。
「剣と言いました」
「刀ではなくです」
「このことにです」
言葉はこれであった。
「このことにお気付きでしょうか」
「剣と」
「片刃ではないか」
髑髏天使もそれで察したのだった。
「つまりは」
「はい、そうです」
「もう片方にも刃があります」
「この通り」
空中を跳ね床に下りながらそのうえで剣を放ち続けている。その中で一人が髑髏天使の前に下りそのうえで懐から林檎を取り出してきたのである。
その林檎を今持っている剣の反対、背の方に置いた。するとである。
林檎はすうっと切れていった。それだけで、である。奇麗に切れてしまったのである。
他の魔物達がその林檎を受け取って食べる。そうしながら笑って言ってきたのである。
「こうして切れます」
「つまりです。もう一方を受けてもです」
「斬れるのです」
「そうなるというのか」
「さあ、如何でしょうか」
「この剣は」
誇らしげに髑髏天使に対して問うてきた。
「貴方に防ぎきれるでしょうか」
「さあ、何時までかわせるでしょうか」
「それも見せてもらいます」
こうして彼等の勝負は続く。そして死神もまた。その鰐と闘っていた。
鰐の姿が消えた。プールの床の中に潜り込んだのだ。まるで水の中に入るかの様に自然といってである。そうして姿をけしたのである。
「消えたか」
「消えたのではない」
魔物からの言葉である。声だけはしてきた。
「私はいる」
「ここにいるというのか」
「そうだ。ここだ」
その言葉と共にであった。
下から出て来た。死神がいるその床からだ。そうして彼を喰らわんとしてきたのだ。
「床でもというのはだ」
「そうだ。本当のことだ」
言いながら襲い掛かって来る。しかし。
死神は宙にあがった。自然に浮かんでみせたのである。
それで魔物の顎をかわした。そのうえで上から反撃として鎌ィ足を鎌から放った。
だがそれは床を撃っただけであった。魔物は床の中に再び潜りその中に消え
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