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SAO─戦士達の物語
SAO編
二十六話 罪は誰に?
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 そうだ、出来るわけが無い。
 約束したのだ。この青年にこれ以上の人殺しはさせないと。それなのに……それなのに……プレイヤーで構成されたギルドの大規模部隊による討伐と言う事例の少ない作戦だったとはいえ、自身の認識や読みの甘さがこの結果を生んだ以上、アスナは生半可な事で引くつもりは無かった。

「私が……!「待て待て待て!!分かった!分かったからそれ以上怒鳴るな!」ぅ……」
 絶妙なタイミングで言葉を刺しこまれ、再び黙らざるを得なくなる。

 実を言うとこの時、リョウは半泣きの顔で怒鳴ろうとするアスナの目尻からついに涙が零れそうになるのを見て、慌てて止めたのだが……そんなことはアスナは知る由も無い。。

 言ってからリョウはどうするべきかを考えだしたらしく、うーむと唸る。アスナはそれを真剣な表情で見つめる……

「なら、こうしよう」
 ようやく考えるのをやめたリョウが、アスナの眼を正面から見据えながら提案する。

「俺、今回の戦闘で噂の正体ばれちまったし、もしかしたら、大規模なギルド辺りから警戒されて身動き取れなくなったりとかしそうじゃん?ソロの連中からもどう思われるか分かったもんじゃないし……だからよ、難しいかもしれんけど、それを全部どうにかすんの手伝ってくれ。それ二つ目の約束にして、守ったらちゃらって事で。どうだ?」
 提案して来たその内容は、確かに難しい事だった。しかし同時に、それはアスナには適任でもある。
 最強ギルドたるKoBのサブリーダーであるアスナなら、確かに各ギルドとのコミュ二ケーションも取り易いし、攻略組の実質の攻略作戦責任者でもあるため、ソロプレイヤーとリョウとの間の折り合いをつけることも、ある程度は可能かもしれない。

「……わかった、今度こそ必ず果たすわ。約束する」
「いやぁ、いやそんなに気張り過ぎ無くても……(ギロッ)おう!しっかり頼むぜ!約束だ!」
 睨まれ、焦った様な顔をするリョウを見るうち、次にすべき事を見つけたからだろうか?
何となく先程まで重かった身体が軽くなって気がして、アスナはふっと顔を綻ばせる。

「?何だよ急に笑ったりして」
「ううん、リョウもそんな顔するんだなーって」
「お忘れの様ですが俺だって一応人間ですぜ」
「うん。知ってる」
 そう言って、何となくとことこと数歩歩く。夜が明けようとしているのが此処からでも分かる。

「人間か……」
「え?」
 後ろで何事かを呟いたリョウの言葉が上手く聞き取れなかったアスナは、聞き返したが、リョウは即座に首を横に振ると、再び口を開く。

「何でもねぇ……そういや、あの時キリトを援護に回したのってアスナだったって?」
 いきなり話題が激変した事にアスナは少々戸惑ったが、すぐに気を取り直し、リョウがオレンジの群れ
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