SAO編
二十六話 罪は誰に?
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だけど心のどこかで求めてしまっていた声。
二つの声の主は、互いに自分の左右に座り込み、アスナの顔を覗き込む。
まだ涙を流してはいないが、それでも地面を見つめたままの自分の顔は恐らく泣きそうなものになっていた事だろう。
途端、キリトは困ったな表情をし、リョウにいたっては慌てて跳び退く。
「う……き、キリト、何とかしろ!お前にまかす!」
「はぁ!?ちょ、兄貴おい待っ……!」
止める間もなくリョウはアスナ達から少し離れた場所へと移動し、無限ポットから直接何かを飲み始める。
「ったく……アスナ、大丈夫か?」
「ぅ、ん。大丈夫だよ。ごめんね、何か……心配かけちゃって」
「ん、いゃ、まぁ……」
そこで会話が止まる。
無言──互いの間の静寂によって出来上がる空気が刺すように痛い。
その内に、キリトは居心地悪そうに頬を掻き始めた時、不意に、アスナの口が本人の意思とは無関係に言葉を紡いだ。
「ごめんね……」
再び先程と同じ言葉を繰り返したアスナに、キリトは焦った様に言葉を返す。
「い、いや、ほんと勝手に心配しただけだし、アスナがそこまで気に病む必要は……」
「違うの」
「へ?」
「違う。私、結局駄目だった。リョウとの約束は守れないし、私のせいでキリト君には人殺しをさせちゃうし、本当に駄目。どうしようもない位……どっちとも、絶対、絶対嫌だったのに……」
「アスナ……」
徐々に語気が強まっていくアスナの言葉を、キリトは沈痛な表情を浮かべながら黙って聞いている。
「奴らが反撃してくるかもしれない事は予想出来てたし、もしかしたら迎撃の態勢を整えられてる事だって可能性として充分に考えておくべきだった……そうすれば……そうすればリョウとの約束も破らずに済んだ……彼に自分の事を更に殺人鬼だと思わせずに済んだ。私があの時迷わず剣を突けていれば、君に殺人の罪悪感を背負わせる事も無かった!私が……私……が……!」
その先は掠れて声にならなかった。
自分がもっと強ければ、迷いがなければ、しっかりしていれば、責任を自分に求めれば、それはキリが無いほど沢山出て来た。
後悔ばかりが募り、段々と前が見えなくなってゆく。
しかし──
「おい、何でもかんでも勝手に自分のせいですモードにしてんじゃねぇよ。」
イラついたような、そんな声が洞窟に響く。
隣に居るキリトからではなく、正面から響いたその声に顔を上げると、そこには見慣れた浴衣姿の男がいた。
「自分の責任を反省して次に生かすのは悪い事だとは思わん。だがな、勝手に全部自分のせいにしてネガティブモードに入られてもこっちは対応に困るんだよ。キリトだって困ってんだろうが」
「ちょ、俺に振るのか!?」
「例えだよ。取りあえず、任せるって言った後
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