第三十話 智天その七
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「それもじゃ」
「当然って?」
「イギリスの料理だから?」
「そうだ」
まさにそうだと返す牧村だった。
「どうして作るのか。知る筈もなかった」
「それで何で肉じゃがに?」
「何でなの?」
「材料だけは聞いた」
それはだというのだ。
「同じ材料で和風の調理をするとだ」
「ああ、そうなるんだ」
「それであんな風に」
「そうだ。そういうことだ」
まさにそうだというのである。
「これでわかったな」
「成程ねえ。そうだったんだ」
「あの肉じゃがにしても」
「そうだ。肉じゃがにはそうした歴史がある」
牧村は歴史とまで言った。そう言ったのも彼の思い入れがあるのだった。
「そういうことだ」
「ううん、それを考えるとね」
「肉じゃがも何かね」
「そうそう。面白いよね」
「だよね」
こう話していくのであった。
「肉じゃがもね」
「何となくできた料理じゃないんだ」
「そうだったんだ」
「料理にも歴史がある」
また言う牧村だった。
「そういうことだ」
「それじゃあこの羊羹もかな」
「そうかもね」
「確か羊羹はじゃ」
今度は博士が言うのだった。わりかし固い羊羹を何でもないといった感じで食べている。それを見ていると歯がかなりいいのがわかる。
「あれじゃったな。中国からじゃったな」
「ああ、それはね」
「僕達も知ってるよ」
「何となくだけれど」
妖怪達は博士の言葉に応えて述べた。
「元は肉料理だったっぽいね」
「こっちじゃお菓子だけれどね」
「そこが違うんだよね」
「そういうところも」
「そうそう」
そう話をしていくのであった。
「何かそれ考えたらね」
「かなり色々あるよね、食べ物って」
「だよね」
「ああ、本当にね」
そう話してであった。その間に牧村にも羊羹が届いた。それを食べている。
妖怪達はその牧村にだ。さらに話すのだった。
「ねえ、それで」
「この羊羹どう?」
「美味しい?」
「ああ、美味い」
まさにそうだと話す彼だった。
「やはりな。いい感じだな」
「そう、美味しいんだね」
「それもかなり」
「山月堂だな」
味ですぐにわかったことだった。
「これは」
「そうだよ、あそこ」
「何か贔屓だけれどね」
「そうだな。この研究室にいるとよく食べる」
その山月堂のものをだというのである。
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