第三十話 智天その三
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「生憎じゃがな」
「だからか」
「そうじゃ。しかし力がこれまでの天使と全く違うのは確かじゃ」
「そして俺の心にも影響を及ぼしてくるか」
「その様じゃな」
また言う博士であった。
「これも今までの天使ではなかったが」
「あれっ、そうかな」
「それは違うと思うよ」
「だよね」
博士の今の言葉にまた妖怪達が突っ込みを入れてきた。
そうして彼等は。こう言うのであった。
「何か牧村さんってさ」
「そうだよね、最初と比べたら」
「もうかなりね」
「変わったからね」
「そういえばそうじゃな」
言われてみてだった。博士も頷くのだった。
「髑髏天使にはじめてなった頃と今ではのう」
「でしょ?別人」
「雰囲気も何もかも」
「すっごくなったから」
「どう凄いのかはわからないが」
牧村はそれはわからないとした。
「しかしだ。今の俺はか」
「そう、別人」
「そう見えるからね」
「最初と比べたら本当にね」
本人にもこう話すのだった。
「何かこのままどうなるかってね」
「思ったりもするし」
「そういえばだけれど」
ここでふとした感じでひょうすべが言ってきた。
「最近の牧村さんってさ」
「んっ、どうした?」
「どうだっていうんだい?」
「いやさ」
左右にぴたぴたと動きながらへっつ、へっ、と笑いながらの言葉であった。それはひょうすべという妖怪の自然な動きであるのだ。
「おいら達じゃなくて」
「僕達じゃなくて?」
「それで?」
「あっちに近いって感じる時があるんだよ」
こう言うのである。
「魔物の方にね」
「おいおい、それはないよ」
塗り壁かそれを否定してきた。一見すると壁にしか見えない。
「牧村さんは髑髏天使だよ」
「それはわかってるけれどな」
「じゃあ何でだよ」
自分の前にいるひょうすべを見ながらの言葉である。
「何でその牧村さんが魔物に近いんだよ」
「何となくそう思うんだよ」
そうだというのである。
「おいらがそう感じるだけだけれどさ」
「そりゃ気のせいじゃないかい?」
「そうだよね」
豆腐小僧と一つ目小僧はそうではないかと言い合う。
「牧村さんは人間だよ」
「ねえ」
「紛れもなくね」
彼等が見る限りではそうなのである。
「何で魔物に近いんだろう」
「どう見てもそうじゃないし」
「そうそう」
「やっぱりおいらの気のせいかな」
ひょうすべは仲間達の言葉を聞いて自分の頭をかいて述べた。
「それじゃあ」
「そうかもね」
彼の右隣から垢なめが出て来て慰めてきた。
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