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髑髏天使
第三十話 智天その二

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「聖書の天使達は座天使までは普通の天使の姿じゃ」
「翼があるだけか」
「左様。しかし」
 ここでさらに言う博士だった。
「智天使になるとかなり違ってくる」
「確か」
 ここで牧村も言ってきた。彼にしても聖書や天使のことに無知というわけではない。それについても既にある程度の知識を備えているのである。
「四枚の翼があったか」
「そうじゃ」
「そして頭が四つだったな」
「人のものとじゃ」
 まずはそれであった。
「他に鷲に獅子に牛じゃ」
「その四つだったな」
「そして身体のあちこちに目があり」
 さらにあるのであった。
「そして車輪まで備わっているのじゃよ」
「異形の姿だよね」
「何か機械みたいだよね」
「そうだよね」
 ここでまた言い合う妖怪達だった。
「その格好ってね」
「想像してみたら」
「かなり不気味だし」
「かつてはじゃ」
 ここでさらに話す博士だった。
「ライオンの身体に人の頭を持ち」
「そこに翼か」
「そういう姿じゃった。天界の番人とされていたのじゃよ」
「どちらにして下の天使達とは全く違う姿だな」
「先のそのまあ」
 博士はここで妖怪達をちらりと見た。そのうえで話すのだった。
「妖怪達が言うにはじゃ」
「機械だな」
「そういう姿はその力を言い表しているのじゃ」
 まさにそれだというのである。
「まさにじゃ。そういうことじゃ」
「力か」
「力もそれまでの天使達と全く違う」
 まさにそうなのだという。
「全くのう」
「そこまで違うというのか」
「そしてどうやら」
 博士の言葉はさらに続く。
「その心もじゃ」
「心もだと!?」
「左様。智天使は神にかなり近い」
 今度はこのことから話してきた。
「それだけに人から離れており」
「心が違ってくるのか」
「神への絶対の忠誠心を持っている」
「それは聖書の天使だな」
「そうじゃが。髑髏天使としての智天使もじゃ」
「違ってくるのか」
「どうやらじゃ」
 こう言って博士は話を続けてくる。
「魔物を倒すのにさらに躊躇しなくなりだ」
「人にある迷いや躊躇いが消えていくというのか」
「そうかも知れん」
 しかし。このことには確証がない返答であった。
「若しかしてじゃが」
「若しかしてか」
「そうじゃ。まだそちらへの文献は手に入っておらん」
 このことにはかなり残念そうな言葉であった。
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