第二十九話 小男その十八
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「やってくれたわね」
「闘い方は一つではない」
攻撃を放ち終えた髑髏天使は彼女の斜め上から言ってきた。
「こうした闘い方もあるのだ」
「思いきったわね。まさか網を使うなんて」
「鮫だからだ」
また鮫だからだというのだった。
「貴様が鮫の魔物だからだ」
「それが理由なのね」
「その通りだ。さっきも言ったが」
「鮫は常に動くものね」
「そうしなければ死んでしまう」
髑髏天使は鮫のそのことを話した。これは実際のことで鮫という生き物は常に動きそのうえで呼吸もしているのである。そういう蚊等だの構造なのだ。
「それを思い出してだ」
「けれど私は」
「それはわかっている」
このことはというのだ。
「貴様は鮫だが魔物だ」
「そうよ」
「動きを止めてもそれで死ぬとは思えなかった」
そうだったというのである。
「しかしだ。動きを止めることは思いついた」
それはだというのだ。
「だから網を使ったのだ」
「そうだったのね」
「貴様の闘い方は常に動いてそのうえで攻める」
このことも言う。
「ならばそれを止めてしまえばいいだけだ」
「そういうことだったのね。どうやら」
「どうやら。何だ」
「貴方は相当な知恵者ね」
それを彼に対して言ったのである。
「それは間違いないわ」
「それを言うのか」
「そうよ。力では私は勝っていたわ」
「確かにな」
「けれど。知恵を使った」
それをだというのだった。
「そうして私に勝ったのだから」
「そして貴様は倒れた」
「そうよ。残念だけれどね」
それは残念だとは言う。
「けれど」
「けれど?」
「満足はしているわ」
それはだというのだ。
「こうして最期まで闘えてね」
「魔物冥利に尽きるか」
「そうよ。それは満足しているわ」
実際にその声は満ち足りたものだった。青白い炎に包まれていきながらもだ。
「充分にね」
「それではだ」
「ええ、これでね」
「消えるといい」
こう言うとであった。魔物はその青白い炎の中に消えた。ここでの闘いもそれで終わったのだった。
彼が人間の姿に戻るとだった。死神がそこに来た。彼も普段着に戻っている。あの黒いジーンズの姿だ。
「また勝ったのだな」
「見ての通りだ」
こう返すだけの彼だった。
「勝ったからこそ生きている」
「それはその通りだな」
「そして貴様もだな」
「また一人冥界に送った」
簡潔に述べる死神だった。
「それだけだ」
「そういうことか」
「そうだ。そして貴様はだ」
「何だというのだ?」
「これからどうするつもりだ」
このことを彼に対して問うてきたのである。
「これからだが」
「コンサート会場に戻る」
牧村もまた簡潔に彼に返した。
「そして音楽
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