第二十九話 小男その十六
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「聞いてはいないか」
「そうよ。この程度で私は倒せないわ」
魔物のその言葉には笑みが宿っていた。
「生憎だけれどね」
「この程度の雷ではか」
「そういうことよ。残念だったわね」
「わかった」
魔物のその言葉をそのまま受け入れたのだった。
「それではだ」
「また来るのね」
「一の雷で効かなければ十だ」
こう言ったのだった。
「ただそれだけだ」
「十の雷で来るのね」
「十でも駄目ならば百だ」
さらに増えていた。
「それだけのものをぶつけてやろう」
「いい言葉ね。それだからこそ戦いがいがあるわ」
鮫のその人形を思わせる漆黒の目が細まった。笑っていた。
「私もね」
「また来るというのだな」
「そうさせてもらうわ。それじゃあ」
身体を翻してまた来た。その下にいる髑髏天使に向かって来たのである。
「また行かせてもらうわ」
「来い」
髑髏天使もそれを受けて言う。
「俺もまた闘い続けよう」
「呑み込んであげるわ」
言いながらその巨大な口を再び広げてきたのだった。
そうしてまた呑み込もうとする。だがそれはまたかわされてしまった。牙と牙が打ち合う、その音だけが響き渡る形となってしまっていた。
「あら、またなの」
「何度でも言おう」
今度は魔物の斜め上からの言葉であった。
「俺は諦めが悪い」
「諦めが?」
「だからこそこうして何度でもかわしてみせる」
そうするというのである。
「そしてだ」
「勝つというのかしら」
「その通りだ」
まさに彼そのものの言葉だった。
「それを見せてやる」
「わかったわ。それだったら」
「また来るのだな」
「今度はただ来るだけじゃないわよ」
身を翻して彼に向かいなおりながらの言葉だった。
「それも見てもらうわ」
「そうか。ならばだ」
「見るのよ」
今度は上にいる髑髏天使に向かって急上昇しながらの言葉だった。
「私のその攻撃をね」
「むっ!?」
「受けるのよ」
こう言うとであった。大きく開いた口から。
牙が無数に放たれてきた。マシンガンの如く放ってきたのだ。
それで髑髏天使を撃とうとする。しかもその間も魔物は突進して来ている。
そうしながら。また彼に対して問うてきたのだ。
「さあ、これで」
「倒すというのだな、俺を」
「その通りよ」
まさにそうだというのである。
「これはどうかわすのかしら」
「こうさせてもらう」
しかし髑髏天使はここで言った。
上に飛んだ。しかしであった。
「甘いわね」
「何っ!?」
そこにも口を向けてであった。また彼を撃ってきたのだ。
まさにマシンガンである。それでまた彼を貫こうとするのだ。
無論その間にも突進して来る。勢いは止まらなかった。
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