第二十九話 小男その十五
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その鮫の姿で空を飛んでいた。鮫の姿でだ。
「これが私の姿なのよ」
「完全な鮫か」
「そう、私は鮫」
その鮫の口での言葉である。
「海だけでなく空も泳ぐことができるのよ」
「成程な。それが貴様か」
「そうよ。その私が相手をさせてもらうわ」
「わかった。それではだ」
それに頷くとであった。髑髏天使は天使から変わった。今度は座天使になるのだった。
その黄色い姿で。魔物に対して言った。
「これでいいな」
「座天使なのね」
「この姿で貴様と闘う」
こう告げたうえで空に舞うのであった。
互いに空を飛びながら。また魔物に対して告げてきた。
「さて、貴様の攻撃をだ」
「見てみたいというのね」
「来い」
今は動こうとはしなかった。自分からは。
「見てやろう」
「私を見たいというのね」
「そうだ。来い」
あらためて魔物に対して告げる。
「その攻撃をだ」
「いいわ。それじゃあ」
それに応えてその尾鰭を鳴らす様に動かしてきた。そうしてそのうえで彼に前に突っ込みそのうえで一直線に向かってきたのである。
「来たな」
「言っておくわ」
「何だ?」
「私はただの鮫じゃないわ」
こう言うのである。
「そう、ホオジロザメよ」
「そういえばだ」
髑髏天使はその大きさも見るのだった。
「貴様は普通の大きさではないわ」
「そうよ。鮫は大きければ大きい程強いのよ」
見れば十メートルはある。まさに人間なぞ一呑みの大きさだった。
その大きさで突き進みだ。巨大な顎を開いてきた。
歯が何列もある。まさに鮫の歯だ。
「さあ」
「来るな」
「一呑みよ」
それだけだというのだ。
「それで終わりだから」
「俺が一呑みか」
「鮫の口を甘く見ないことね」
その言葉には勝利を確信する笑みがあった。
「それこそ飲み込めないものはないのよ」
「俺もだな」
「そうよ。それじゃあ」
その開いた口のまま言うのであった。
「楽にしてあげるわ」
「生憎だが」
しかしここでまた言う髑髏天使だった。髑髏の奥のその目が光った。
「俺もそう簡単にはだ」
「やられるわけにはいかないとでもいうの?」
「そうだ」
こう言ってだった。魔物の前から姿を消した。
「!?」
「貴様の口は一つだ」
髑髏天使の声だけがした。
「一つだけだ。それならばだ」
「それならば?」
「かわすのは楽だ」
こう言うのであった。
髑髏天使の姿は見えない。しかしだった。
下からだった。突如として雷が襲った。
「受けろ」
「!?」
それが魔物を直撃した。黄色い槍が貫いた。
魔物の動きが止まった。髑髏天使は下にいたのだ。
そしてそこから。魔物に対してまた問うてみせた。
「これならばどう
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