第二十九話 小男その十二
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だが。ここで死神達はそれぞれの鎌を投げ切り裂きはじめた。
「生憎だが」
「こちらもやり方がある」
「それを見せてやる」
こう言って一人が鎌を投げ一人が切り裂く。そうしてきたのだ。
二人一組だった。そうして遠近双方から魔物を攻めてきた。
魔物はまず一人が心臓を投げられた鎌で断ち切られた。その魔物がすぐに赤い炎の中に消える。
そして鎌が返って来てもう一人断ち切る。一撃で二人倒した。
だが魔物達は次から次に増えていきそれに対する。しかしだった。
数は次第に減ってきた。死神に喰らいついて血を吸いにかかっている者もいた。だがその魔物もすぐに鎌を振るう死神によって切られる。
闘いは鎌を自由自在に操る死神に有利となっていた。魔物はその数を少しずつ減らしていき遂に。最後の一人が今心臓を両断された。
「うぐっ・・・・・・」
「これで最後だ」
両手で鎌を振った死神の言葉だ。
「私の言った通りになったな」
「確かに」
最後の魔物がそれを認めてきた。
「それは褒めておこう」
「私は嘘をつくことはしない」
彼はここでこのことをまた言った。
「その証拠がこれだ」
「そうね。本当にね」
「安心して冥界に行け」
赤い炎に包まれていく魔物への言葉だ。
「そのままな」
「そうさせてもらうわ。数でも無理だったのね」
「数だけではないということだ」
死神は十人から次第に身体を戻してきていた。次第に重なり合っていきやがては一人だけになった。元に戻ってしまったのである。
「もう一つの要素がある」
「もう一つとは?」
「質だ」
それを話に出してきたのである。
「質もまた重要だということだ」
「質ね」
「貴様は質では私に劣っていた」
彼はこのことを言い切ってみせた。
「だからだ。私に勝てる筈がなかったのだ」
「よくわかったわ」
魔物は死神のその言葉を受けて頷いた。
「それでね」
「わかったな」
「貴方は私を倒すのに相応しい相手だった」
これが彼の死神への評価だった。
「そういうことね」
「わかったならばだ」
死神はさらに言ってみせた。
「安心して旅立て」
「ええ、これでね」
ここでその赤い炎に全身を包まれた。そうして。
その中に消え去った。これで全てが終わった。
死神の闘いは終わった。そして牧村は。小男と対峙を続けていた。
小男は彼に対して言ってきた。
「髑髏天使さん」
「何だ」
魔神の言葉に応える。
「闘う前の前口上か」
「はい、それです」
まさにそれだというのである。
「それですが」
「では俺から言おう」
彼から言ってみせたのだった。
「魔物が来ればだ」
「闘われるのですね」
「早く出すのだ」
これを前口上とするのであ
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