SAO編
二十三話 刃(やいば)の異名を持つ男
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「は?」
「打ぁ!」
中央に居た青髪ピアスの奴が声を上げるが、既に遅い。
とうに俺の身体は槍の穂先など抜けており、赤いライトエフェクトを纏った俺の右脚が、身体の後ろから追いついて来るように腰を軸にして思い切り振り切られ──
ポリゴン破砕音と共に首から上の無い一人のプレイヤーが、消滅した。
足技 単発技 飛脚《ひきゃく》鎌断《かだち》
「先ずは一人。ってね」
猫のように姿勢を低くして着地した俺に対し、一瞬既に後ろに居る槍使い二人と、目の前に居る多数のオレンジプレイヤーは一瞬呆けた顔をしたが、すぐに戦闘態勢を取ろうとする。
だがやはり遅い。
俺は既に《足技》のスキルを使った硬直から復活している。
この《足技》のスキル。幾つかの特異性があり、その内一つに、「硬直時間が異常に短い」と言う物があるのだ。
足技の硬直時間は長い物でも2秒。短い物だと、0.3秒も無い。
俺は相手方の対応と心の準備が追いつくより速く、次の行動へと移る。
「覇ァァァァァ!!」
右足を軸に、左足を少々前に出し、右手の冷裂を長く掲げて大きく回転する。
その一撃に巻き込まれ、近くに居た三人のプレイヤーが一瞬で消滅する。これで四人。
勿論だが、一回転で終わりではない。既に刃の部分に緑のライトエフェクトを纏った冷裂を持った俺の身体は、そのまま足を代わる代わる入れ替えながら回転を維持して常人の身体ではあり得ない早さで前方へと進む。
二回転目で追加で二人。
三回転目でもう一人。
四回転目で更に二人。
圧倒的な筋力値から生み出される剣技《ソードスキル》の威力は、オレンジ達のHPを危険域のレッド、注意域のイエローはおろか、まだグリーンの状態の物でさえ、一撃でアバターごとポリゴンの欠片として砕け散らせて行く。
爆散により起こったポリゴン片と回転によってクルクルと尾を引く緑色のエフェクトとが、さながら光の嵐のごとく輝き続ける。
これで、9人。
「ま、初手としちゃ十分か。」
そう言いながら回転を止める。合計四回転。
薙刀 上級連撃技 「乱嵐流《らんらんりゅう》」
正直、始めてこの名前を見た時は某ハンバーガーチェーンを思い出したものだが、名前とは裏腹に威力、範囲は共に文句のつけようのない非常に優秀なスキルである。
が、しかし、そうそう全て上手く行くかと言うとそうでも無い。
原則的に、薙刀のソードスキルと言うのはどれも他の武器のスキルよりも硬直時間が長い。無論、優秀な技である以上それはこの《乱嵐流》も例外ではない。
で、当然集団に囲まれていれば皆その硬直を狙ってくる訳で……
「いけぇ!」
「おらぁぁぁぁl!」
「死ねやぁぁ!」
ほら来たよ……
目の前や左右には槌やら斧やら剣やらを構える野郎共の姿。
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