第二十九話 小男その一
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髑髏天使
第二十九話 小男
「そういうことだ」
「相変わらずだったよ」
仙人と子供がそれぞれ仲間達に告げていた。今彼等は虚空の中にそれぞれ立っていた。周りには何もなくそこに浮かぶ様にして立っている。そのうえで話をしているのだ。
「手強いものだな」
「また一段と強くなってるね」
「座天使になってさらになのね」
女がそれを聞いて述べた。
「どうやらね」
「それじゃあどうするのかしら」
今度は美女が言ってきた。
「また新しい魔物を出すのね」
「それしかないだろう」
男は美女のその言葉に応える。
「どちらにしろ」
「そうだ。我等は魔物を出し髑髏天使の力を手に入れる」
紳士はそのことを話した。
「それが宿命だからな」
「そういうことだ。だがあの強さはだ」
青年はこのことを指摘した。
「かつてない。あれだけ強ければだ」
「我々の方も出す魔物が限られてきたな」
仙人はまた言ってみせた。
「それもかなりな」
「じゃあ誰なんだ?」
ロッカーは述べた。
「誰を出すんだ?それで」
「そうですね。また一人来られますし」
老人がここでやっと口を開いたのだった。
「我々の同胞が」
「これで十一柱だね」
子供が述べた。
「後は二人だけだけれど誰かな」
「女性の方です」
出して来たのは女であった。そうだというのだ。
「そちらが来られます」
「というと」
「あの娘ね」
女と美女がそれぞれ言ってきた。
「あの娘が遂に出て来たの」
「随分と時間がかかったのね」
「時間がかかったけれどそれでもです」
老人はまた仲間達に話す。
「来られました」
「そう。じゃあ今度は」
「彼女の歓迎になるわね」
「その歓迎ですが」
「俺が迎えに行く」
男が名乗り出て来た。
「そうさせてもらうか」
「いや、待ってくれ」
しかしここで紳士が出て来て言うのだった。
「ここは私が行かせてもらう」
「貴様がか」
「ウェンティゴ、貴様は前に魔物を出しているな」
「それはそうだが」
「では私が行かせてもらう」
また言うのである。
「それでいいか」
「忌々しいがいいだろう」
男は憮然としながらその言葉に頷いた。
「貴様の番だというのならな」
「ではそうさせてもらう」
「やれやれだぜ」
ロッカーはここでシニカルな感じで言うのであった。
「俺も行きたかったんだけれどな」
「まあいいではありませんか」
老人はその彼を宥めに入った。
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