第二十八話 監視その二十一
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ゃない」
「それでもあるとは思えないのだがな」
「あると思っていて。それじゃあね」
「やっと帰るんだな」
「そうして。それじゃあ」
ここでやっとそのサイドカーに乗るのだった。横のその車に入る。
牧村もエンジンを再び入れる。しかしヘルメットはまだだった。
未久は今丁度被るところだった。それで兄に対して言った。
「お兄ちゃん、ヘルメット」
「わかっている」
「さもないといざという時怖いわよ」
「ヘルメットを着けないでバイクには乗れない」
彼もそれはよくわかっているのだった。
「それは愚か者のすることだ」
「愚かなのね」
「命はできる限り大事にする」
こんなことも言った。
「だからこそだ」
「そうよね。やっぱり命はね」
「何時なくなるかわからない」
不意にこんなことも言う牧村だった。
「まさにだ。何時だ」
「何時って」
だが未久には今のその言葉は。妙に場違いなものに聞こえた。
それで少し引いて。兄に告げた。
「別にそこまでは」
「俺はそうだ」
半分髑髏天使になってしまっていた。その心が。
「何時なくなるかわからないからな」
「だからそれオーバーよ」
ここでまた言う彼女だった。
「別にそこまではいかないじゃない」
「むっ?」
「何言ってるのよ一体」
また兄に告げるのだった。
「命がどうとかって」
「忘れてくれ」
我に返ってこう述べる兄だった。
「今の言葉はな」
「まあ訳がわからないしね」
妹もそれでいいとした。そうしてあらためてであった。
「帰ろう」
「ああ、それじゃあな」
「ちょっとコンビニ寄ってね」
こんなことも言った。
「それでね」
「コンビニか」
「チョコレート買いたいのよ」
だからだというのだ。
「それで。いいわよね」
「わかった」
妹の言葉にそのまま頷く。
「それじゃあコンビニにもな」
「御願いね、お兄ちゃん」
ここまで言ってヘルメットを被る。そうして今は妹を乗せてその場所に向かうのであった。
第二十八話 完
2009・12・22
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