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髑髏天使
第二十八話 監視その二十

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「いいな、人であることだ」
「またその話か」
「話は聞いているな」
「一応はだ」
 聞いているとは答える牧村だった。だが背は向けたままだ。
「聞きはした」
「そうか。ならいい」
「俺は人間だ」
 このことをまた言うのだった。
「それも言っておく」
「ならそのままでいることだな」
「そうだね」
 ここで目玉も出て来たのだった。
「それがいいね」
「その声は。貴様も出て来たのだな」
「ああ、声でわかるんだね」
「わかる。ではまただな」
「あれっ、僕とは話さないんだ」
 目玉はそれを聞いてかなり残念そうであった。
「これで終わりだなんて」
「話をすることがないからだ」
 そうだと返す牧村だった。やはり彼に背を向けたままだった。
「貴様ともな」
「そうなんだ。だったら」
「帰る」
 そうするというのである。
「これでだ」
「じゃあさようなら」
 目玉は彼を引き留めることはしなかった。
「またね」
「話はなかったのか」
「聞きはしたかったよ」
 それはあるとは告げた。
「けれど君が何も言うことがないんならね」
「それでいいのか」
「また聞くことができるし」
 こう言ってそのまま素っ気無い態度のままでいる。
「それじゃあね」
「また会おう」
 こう言ってサイドカーに乗りそのままその場を去る。死神と目玉はその彼を見送った。そうしてそのうえでお互い話をするのであった。
「どう思う」
「そうだね。本人は否定するけれど」
 目玉は死神に対しては饒舌に話すことができた。
「それでもね。あれはね」
「次第になっていっているな」
「そうだね。次第にね」
 なっているという。それを言うのだった。
「あのままいったら。次には」
「うん、智天使になったら」
 その時のことを話すのである。
「その時は近いしね」
「あのままいけばな」
「半年で智天使っていったら」
「今まではなかった」
 ないというのである。
「これまでの髑髏天使ではな」
「力天使だってそうはなれなかったのにね」
「力天使なぞ瞬く間だった」
 最早その時は遠いことになってしまっていた。既に、である。
「今や座天使だ」
「上級になってね」
「さらに昇る。しかし智天使はだ」
「あれは普通じゃないからね」
 その智天使のことを話すのだった。天使の階級としては上から二番目である。だがそれは決して階級の高さだけではない、二人はそう話をしていた。
「最早な」
「その天使になった時にだ」
 死神の言葉が強いものになった。
「何かが起こる」
「そうだね。その時に君の危惧することが起これば」
「私が刈る」
 彼は言い切った。
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