SAO編
二十二話 その男の異名
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うな大音響のポリゴン破砕音が辺りに響いた瞬間、付近に居た敵味方両方のプレイヤーの眼が、一斉にキリト達の方へと向けられる。
驚き、憐れみ、歓喜、感心等様々な感情を周囲が浮かべる中、一瞬、呆けたように口を開けた一人の両手槍使いのオレンジプレイヤーが、犬歯をむき出しにして一気にキリトとの間合いを詰めていく。
恐らくは、先程倒されたオレンジプレイヤーが彼の知り合いだったか何かしたのだろう。案外、キチガイぞろいのオレンジの中でもまともな感性を持っているのかもしれない。あくまで彼等の中で、だが。
しかし、今のキリトにそれは自殺行為であった。
「死ねぇ!!」
怒りの形相のまま、槍使いは突進しながら赤いライトエフェクトを纏った両手槍をキリトの胸へと突き出す。
「……っ!」
気が付くとほぼ同時にキリトは左足を軸にして身体を90度回転。これを回避。
当然、回避されたオレンジの方はソードスキルを虚空に打ち込むことになり、スキル硬直を科せられる。
対しキリトは、右半身を引いた事で、右腕が後ろに下がり、左腕を前方に突き出すような形にして、肩に担ぐように右手で持った直剣の切っ先を相手へとちょうど弓矢を引き絞るのに近い姿勢で向けている。
その構えの中で、握られる直剣が紅蓮のライトエフェクト帯び……
「ラアァァァ!!!!!」
ジェットエンジンめいた轟音と共に、オレンジの心臓の位置めがけて片手直剣 単発重攻撃 《ヴォ―パル・ストライク》が打ち出された。
────
これは、この討伐作戦より、一年半位前の話だ。
そのころ、徐々に攻略が進み始め安定して来たSAO世界には既にオレンジプレイヤーが存在しており、当然、その集合体であるオレンジギルドの存在もあった。
当時は、軍の治安維持活動も本格化しておらず、オレンジプレイヤーたちは原則として中堅及び始まりの街に居るレベルの低いプレイヤーを狙うものが主であったのだが、
その中で、特筆して特殊なやり方を持つオレンジギルドの存在がその年の二月中盤頃から目立ち始めた。
ギルド名 [義鉄]
主な活動内容は、本人達が基本的に頑なに隠しているベータテスト参加者(以下ベータ)情報を掴んでは、HPを戦闘直後で減らしたその参加者を十人程度で囲み、武器をちらつかせ、戦闘によってHPをギリギリまで減らしてからの相手の持つ情報及びアイテムの“回収”
そう。回収である。
強奪や奪取ではなく、回収と言う言葉を使っているあたり、彼らが自らのしている事に疑問を持っていなかった事が分かるだろう。
彼らは自分達のしていることが「正しい」と信じていたのである。
自身が、ゲーム開始直後から持っていた情報を他のプレイヤーに分け与えずに独占し、その結果レアアイテムや更なる情報を得た
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