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SAO─戦士達の物語
SAO編
二十二話 その男の異名
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しても出来ない周りのプレイヤーたちは、皆HPバーを赤く染めたオレンジプレイヤーたちにとどめをさす事が出来ず、防戦一方となり始めている。
このままの状況が続けば恐らくは……

 だが、アスナが焦っているのはそれだけではない。
アスナはリョウととある約束をしているのだ。
それはある意味自身の意地を、そしてリョウとの友人関係も欠けた、絶対に破る事の出来ない絶対の約束。
キリトと二人で、約束し、必ず果たすと誓った。
それを破らないためには、なんとしても、この状況を打開しなければならない。

 故に、アスナは焦っていた。

────

『……俺の異名の由来でも聞いたか?』
『…………!!』
 その言葉を言われた時、アスナは完全に動揺にのまれてしまった。
リョウにごまかしや嘘が通じないのは分かっていたが、此処までとは!

『なるほど……つまりお前は俺を掃除係になって欲しい訳だ』
『え……?』
 納得したように言うリョウに、アスナは再び動揺する。一体何を?

『そんな大規模な対人戦に俺を誘うってことはそう言う事だろ?要はもしものときは俺に、殲滅戦の先頭に立って、オレンジ連中をぶっ殺せ!と』
『なっ……!何を言い出すの!?』
『だってそうだろ?俺にビビりながら、頑張って俺に依頼にすんのは、それが一番合理的だぜ?』
『違う!私は別にリョウに人殺しになれなんて!』
『ほぉ?それなら俺は行かなくてもいいんだな?』
『っ!そ、それは……』
 正直、リョウの異名はあの手のオレンジプレイヤーに対して特効薬にもなりうるものなのだ。

 《ジン》のその名を聞けば、大抵のオレンジプレイヤーは恐怖する。
だが、この様子だとその理由をどうやらリョウは嫌っているらしい。
まして、「戦力的にも期待できる」等と言う本音を言えば、間違いなくリョウは嫌悪感を抱くだろう。
それはアスナにとっても嫌だし、なおかつ友人だと思っている人物に、自分を殺人マシーンとして使った奴だなどと思われるのは耐えられない。

 そして、アスナはある提案をリョウにした。

『分かったわ。じゃあリョウは、顔を出すだけでいい。もしも作戦が崩れて戦闘になったら、後ろに下がって傍観していて構わない』
『ほぉ?』
『お、おいアスナそれは……』
『いいの、キリト君は黙ってて』
『は、はい……』
 後ろで何か言おうとしたキリトを黙らせ、アスナはリョウを真っ向から睨む。
リョウは面白そうにからかうような笑みを浮かべてソファーに座り込んでいた。

『わかった。その条件なら依頼を受けよう』
『ありがとう』
『ただし、俺が大丈夫だと思っている間だけだ。本当に危なくなったら、俺も参加する。見殺しは寝覚めが悪いしな』
『わかったわ、絶対にそんな事にはしない。』

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