第二十八話 監視その十二
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「わかったな。それではだ」
「そうか。ならばだ」
死神はその言葉を返すとだった。
まずは右手を拳にした。そうして。
「貴様の望み通りにしてやろう」
「来るのだな」
「見るのだ」
こう言ってであった。
その拳を胸の前に置く。そこから青白い光が放たれ彼の全身を包み込む。
そうしてそのうえで、であった。あのフードのある法衣を着てそのうえで右手に大鎌を持つ。そのうえでその鎌をまずは一閃させた。
そして。彼は言った。
「その命、刈らせてもらう」
「いいだろう。ではだ」
「貴様の望み通りに闘おう」
こうして二人の闘いがはじまった。そうして牧村達も。
「俺の相手は人形か」
「人形ではない」
魔物は今の牧村の言葉を否定した。
「俺は人形ではない」
「では何だというのだ?」
「魔物だ」
それだというのである。ぎこちない言葉で。
「俺は魔物だ。それを言っておく」
「ああ、言っておくけれどね」
ここで子供も彼に言ってきた。
「この魔物は強いよ」
「木でできているというのにか」
「木は強いよ」
子供はこう言ってくすりと笑ってみせるのだった。
「何よりもね」
「そしてこの魔物もか」
「そういうこと。それは確かに言ったよ」
「耳には入れた」
牧村もそれを受けて述べる。
「強いか」
「俺は負けたことがない」
魔物の方からも自分のことを述べてきた。
「それだからこそ」
「来るか」
「行かせてもらう」
こう言ってだった。一歩出た。そうして牧村にまた言ってきた。
「髑髏天使になるのだ」
「それまでは闘わないというのか」
「俺は人間とは闘わない」
このことも言ってきた。
「魔物は人とは闘わない。そして今は喰らいもしない」
「人はどうでもいいのか」
「人には何の興味もない」
実際にそうだともいう。
「だからだ。人間の姿の貴様にはだ」
「何の興味もないか」
「そうだ。確かに言った」
ぎこちない声なのは確かだが言葉は出した。これは否定できない。
「俺も。聞いたな」
「聞いた。それは言っておこう」
「それではだ」
「変身しろというのか」
「来い」
牧村に対してまた告げてみせた。
「そして闘うのだ」
「受けよう」
牧村も最初から退くつもりはなかった。それならばだ。
両手を拳にしてそれを胸の前で打ち合わせた。中指と中指を中心として。そしてそこから放たれる白い光に身体を包み込み。そこから髑髏天使になった。
「行くぞ」
右手を少し前に出して胸の高さで一旦開きまた握り締める。これが合図だった。
「貴様を倒す」
「それは俺の言葉だ」
魔物はまた彼に返した。
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