第二十八話 監視その十一
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「その相手を出してくるのだな」
「そういうことだよ。君達と遊びたい相手はね」
「誰だ」
「出て来て」
彼がこう言うとだった。不意に上から、まさに落ちて来る感じでだ。かたかたとしたぎこちない動きの人間が出て来たのであった。
「これが君達と今日遊びたい相手だよ」
「そいつがか」
「そうだよ。そうだね、ねえ」
子供は今度はその人間に見えるものに対して声をかけた。
「君は誰の相手をしたいのかな」
「はい、クマゾッツ様」
見ればであった。やはり彼は人間ではなかった。ぎこちない動きを続けている。その身体は硬い木でできた、その存在だったのである。
「私はです」
「うん、君は?」
「髑髏天使の相手がしたいです」
こう言うのであった。
「あの者との相手を。いいでしょうか」
「そうだね。ねえ」
子供はここで仙人に顔を向けてそのうえで彼に問うのだった。
「ヤクシャ」
「何じゃ」
「僕の魔物は髑髏天使の相手をしたいんだって」
「そうか」
「君はそれでいいかな」
「わしは構わん」
彼もそれでいいというのであった。
「別にのう」
「そう。じゃあこれでいいよね」
死神は彼のその言葉を聞いて安心したように微笑んだ。
「それでね」
「よい。それではじゃ」
「それじゃあ髑髏天使の相手は僕で」
「わしの相手は死神じゃな」
「私としてはどちらでもいい」
死神の言葉はここでも大鎌そのものであった。
「ただ。刈るだけだ」
「左様か」
「では問おう」
まだ鎌は出していない。しかしその鎌を突き出してそのうえで仙人に問うてみせた。
「貴様の今回の魔物は誰だ」
「出るのじゃ」
死神に答えずにだった。こう告げたのであった。
すると後ろから出て来た。それは。
鬼であった。人の身体に牛の顔をしただ。その鬼が出て来たのであった。
身体の色はまさに漆黒であった。その漆黒の姿を闇の中から出して来て。魔物は言った。
「ラークシャサ」
「羅刹か」
死神はそれが何かすぐに察した。名前を聞いただけで。
「鬼だな、まさに」
「そう、俺は鬼」
彼の方からもそれを認めてきた。
「鬼だ。闘い続けるな」
「ふん、まさに羅刹というよりはだ」
死神はそれを聞いてこう述べた。
「阿修羅だな」
「だが俺は阿修羅ではない」
魔物はそれは否定した。
「羅刹だ。そこが違う」
「しかし闘いの中に生きるのだな」
「それはその通りだ」
このことはそのまま認めてきた魔物だった。
「俺は闘いの中に生きている」
「それでは今もだな」
「そうだ」
死神に告げてきた。
「そしてだ」
「闘うというのだな」
「貴様を倒す」
こう返してもみせる。
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