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髑髏天使
第二十八話 監視その三
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「とてもな」
「そうみたいね。それじゃあ」
「何だ?」
「ここは私がやるから」
 今度はこう父に言ってきたのだった。
「お母さん呼んでるわよ」
「母さんがか」
「ちょっと来て欲しいってね」
 そうだというのである。
「だからお店の中に入って」
「ああ、わかった」
 娘のその言葉に頷く父であった。
「じゃあここは頼んだよ」
「任せて。それに今牧村君しかいないのよね」
「ああ、そうだ」
 このことがまた確かめられる。
「だから静かなんだよ」
「それじゃあ平気だから。御願いするわね」
「わかったよ。それにしても」
 ここでまた言う父だった。
「牧村君強いからね」
「今度は一体何言うのよ」
「いや、頼りになるなって思ってな」
 またしても笑いながらの言葉だった。
「それでなんだよ」
「だからそういうこと言わないでよ」
 いい加減八重歯まで出してきた若奈だった。その八重歯も実に可愛らしい。
「本人いるし」
「本人!?」
 牧村がその言葉に声をあげた。
「誰なんだ、それは」
「あっ、まあそれは」
 ここで若奈も咄嗟に彼のそうした鈍さに気付いてしまったのだった。だがそれはあえて言葉に出さずに話を続けることにしたのであった。
「何でもないわ」
「そうか」
「そうよ。だから気にしないで」
「だといいんだがな」
「そういうこと。それでね」
 そうして平静に戻りながら父にまた言うのだった。
「それでお父さん」
「ああ、何だ?」
「今度仕入れた紅茶だけれど」
 その話になるのだった。
「そのことなのよ」
「母さんが聞きたいことか」
「ええ。何処から仕入れたかね」
「それか」
「何処からなの?あれは」
「百貨店だよ」
 そこだというのであった。
「八条百貨店からな。仕入れてるんだよ」
「あの百貨店からなの」
「そうさ。天理教の教会であそこの偉い人と知り合ってな」
 それが縁だというのである。
「それでなんだけれどな」
「ふうん、そうだったんだ」
「柳本さんっていうんだよ」
「柳本さん?」
「いい人だよ、謙虚でありながら豪快でね」
 一見すると相反するものが同時に出ていた。
「九州出身でね」
「九州の人なの」
「ああ、熊本の人なんだよ」
「そこからこの神戸に出て来たのね」
「そういうことだ、神戸にな」
「成程、そこからなの」
 若奈は話を聞いてそれで応えるのだった。
「熊本っていったら」
「加藤清正だけれどな」
「あとは熊本城?」
 考えながら熊本と聞いてイメージするものを述べていく。
「食べ物は何だったかしら」
「熊本ラーメンだったか」
「他に馬刺しとこっぱ餅とかよね」
「そうだな。何かそういうものだったな」
「九州って何処もラーメ
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