第二十八話 監視その一
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髑髏天使
第二十八話 監視
牧村はまた若奈の家の店にいた。そこのカウンターで紅茶を飲んでいた。
その彼の前にはマスターがいる。彼は明るい声で牧村に声をかけてきた。
「相変わらず引き締まっているね」
「そうか」
「そうだよ。フェシング部とテニス部の掛け持ちはまだ続けているんだね」
「そうです」
いつもの愛想のまま返す彼だった。
「それはこれからも」
「凄いね。身体が引き締まる筈だよ」
それを聞いて納得した顔で頷くマスターだった。
「いやね、うちは娘が三人いるじゃない」
「はい」
若奈と彼女の二人の妹達である。
「若奈はテニスをやって真ん中は陸上でね」
「それをしているのですか」
「丁度高校の時の牧村君と同じだね」
彼と同じだというのだ。
「陸上だからね」
「そうですね。それは」
「いや、あれもいいよね」
笑いながら彼に話すマスターだった。声をかけながら店のそのお皿やグラスを拭いている。清潔さこそが第一というわけである。
「身体全体を使うからね」
「確かに」
「一番下のは吹奏楽でね」
「吹奏楽ですか」
「ほら、あれなんだよ」
ここで笑いながら話してきた。
「今中学校だけれど将来は吹奏楽の凄い学校に行きたいって言っていてね」
「というと」
「奈良の天理高校だね」
この学校の名前が出て来たのだった。
「あの学校に行きたいって言ってるんだよ」
「奈良のあそこですか」
「丁度近くにある天理教の教会の娘さんも天理高校に通っていたから」
この話もするのだった。
「ほら、八条分教会の」
「あの教会ですか。結構大きい」
「そう、あそこの一番上の娘さんね。千里さんだったかな」
その名前まで言うマスターだった。
「雰囲気がうちの若奈とそっくりだからね」
「そういえば似ていますね」
彼女のことは牧村も知っているのだった。実はその教会にも行ったことがあるのだ。
「親父の勤めている百貨店の重役の人があの教会の信者で」
「ああ、それでなんだ」
「それで顔出しに行くことがありました」
これも人付き合いというわけである。
「その時に御会いしたことがあります」
「確か牧村君やうちの若奈より一つ下だったかな、千里さんって」
「確か」
「中学まで八条中学で高校から天理なんだよね、あの人は」
「だから今は天理にですか」
「天理大学の一年だったね」
今牧村達は八条大学の二年である。やはり一つ違いである。
「そうだったね」
「小学校も中学校も違うのでよくは知りませんでしたが」
「そうだったんだ。いや、あの娘もね」
「あの娘も」
「いい娘だよ。うちの若奈と同じ位ね」
何気に自分
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