第二十七話 仙人その二十一
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「消えてもだな」
「姿は消せても実体までは消せまい」
「如何にも」
「だからこそだ」
そこまで見ている魔物であった。全て読んでいるのだった。
「さあ、私の勝利を見るのだその目で」
「さて、それはどうか」
「まだ勝機はあるというのか」
「その通りだ。確かに姿を消せてもだ」
死神は言うのだった。
「実体は消えない」
「それは今言った通りだな」
「だが。私は消えるだけではない」
「ではどうするのだ?」
「見るのだ」
こう言ってだった。彼は姿を消したのだった。それは一見するとこれまでと同じであった。
「消えたか」
「消えたのではない」
しかしここで死神の声だけが聞こえてきたのだった。
「私はな。消えたのではない」
「どういうことだ、それは」
「こういうことだ」
その言葉と共にであった。何と後ろに出たのだった。魔物の真後ろに。
「何っ!?」
「私は消えるだけではない」
真後ろに出たところで身構えている彼だった。
そしてだった。その大鎌で斬る。これで決まりだった。
魔物に瞬間移動する間も振り向く間も与えなかった。斬ったのだった。これで全てが決まった。
「うぐっ・・・・・・」
「勝負あったな」
魔物を斬ったうえで言う死神だった。
「これでだな」
「その通りだ。見事なものだ」
魔物は最後の力を振り絞って死神に身体を向けた。そのうえで彼に告げた。
「まさかこうするとはな」
「瞬間移動ができるのは私もなのだ」
「それをあえて見せなかったのだな」
「貴様が見せた時にそれを決めた」
そうだったというのである。
「切り札として置くことにしたのだ」
「そうか。駆け引きか」
「その通りだ。わかったな」
「今ようやくな。そしてだ」
「そして」
「貴殿の真の強さもだ」
それもわかったというのだった。
「貴殿は見事な強さだ」
「伊達に死神ではない」
「その死神としての強さ見せてもらった」
また言う魔物だった。
「その強さがだ。そしてさらに強くなるな」
「貴様達を刈ることによってだな」
「その通りだ。その貴殿の強さをだ」
「冥界で見ておくというのか」
「見せてもらうことにする」
ここで彼の身体が赤い炎に包まれた。これで終わりだった。
バックベアードも倒れた。後に残ったのは髑髏天使と死神だけだった。彼等はお互いに見合いながら宙に浮かんでいた。
そして宙に浮かんだまま。お互いに話すのだった。
「今度も勝利を収めたようだな」
「だからこそ今ここにいる」
こう死神に述べる彼だった。
「だからだ」
「それだけか」
「それ以外に何がある」
「座天使の力使いこなしているな」
それを言ってみせた死神だった。
「なったばかりだというのにだ」
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