第二十七話 仙人その二十
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「眠るのだ」
「そうさせてもらおう」
魔物は潔くそれを認めたのだった。
「どうやら貴様はまだ強くなるようだ」
「まだだというのか」
「そうだ。我を倒した」
だからだというのである。
「その貴様はさらに強くなる」
「そして貴様達をさらに倒す」
「そうするといい。それではだ」
遂にその青白い炎に全身を包まれた。そうしてだった。
「さらばだ」
「これでな」
これで姿を消したのだった。髑髏天使はこの闘いも勝利を収めたのであった。
死神とバックベアードの闘いも激しいものになっていた。魔物は次々に眼力を放ち死神はそれをかわしていく。魔物が押していると言えた。
「何時までかわせるか」
「私がか」
「そうだ。何時までそれができる」
このことを死神に対して問う魔物だった。
「私の眼力から」
「永遠にだ」
魔物の自信に満ちた言葉に対する返答は簡潔なものだった。
「貴様の攻撃も既に見切った」
「だからだというのか」
「そうだ。最早どうということはない」
実際に今身体をすり抜けさせたのだった。最低限の動きでかわしてみせた為そう見えたのだ。その動きでも言ってみせたのである。
「こうしてだ」
「そうか。しかしだ」
「それは貴様も同じだというのだな」
「貴殿に私を倒すことはできん」
魔物は己の攻撃が見切られているとわかってもその余裕を見せるのだった。
「貴殿の攻撃を見切っているのだからな」
「つまりお互いだというのだな」
「そうだ。そしてだ」
「そして?」
「私の攻撃はこれだけではない」
死神をその巨大な単眼で見据えながらの言葉だった。
「この眼力だけではないのだ」
「他にもあるというのか」
「如何にも。では見せよう」
言いながらであった。今度は。
身体の縁にあるその無数の触手めいたコロナを思わせるものが少しずつ離れた。そうして宙をゆっくりと漂いはじめてきたのであった。
「これか」
「そうだ。これだ」
まさしくこれだと彼に答えてみせる。
「これが私のもう一つの技だ」
「これで私を倒すというのだな」
「ただ漂っているとは流石に思うまい」
「炎か」
死神は鋭い声で言った。
「それだな」
「私は漆黒の太陽」
まさにそれだという。
「だからだ。これは炎なのだ」
「その炎で私を焼くつもりか」
「漆黒の炎は全てを焼き尽くす地獄の炎」
「そうだな。それこそまさにだ」
地獄の炎が何なのか知らないわけではなかった。何しろ彼は死神だ。それで地獄のことを知らない筈がないのであった。それは今の言葉にも出ていた。
「地獄の炎だ」
「この炎で焼き尽くす」
魔物は言い切ってきた。
「これでだ」
「その為に今の炎を出してきたのか」
「さて、どうするのだ」
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